ベースとドイツと

ちょっとビョーキネタから離れましょう!

今回お借りしている楽器はいかにもドイツ。固くて強くて手ごわい。調弦マシーンが40年前に初めて手にした楽器と同じで親近感がわきます。しかし、とても今の私の体と手では歯が立たずに、上2本をダミアンの裸ガット、下2本はなんと初オブリガードに替えました(所有者の了解済み)。ナカタニ弓も持って来ているので、松脂は人生初ポップスとリーベンチェラー5番、アルシェベース用、マジックロジンも。私も替わりました。2年前には想像さえできませんした。身体の変化に合わせるとこうなったわけです。皆さまお許しを!

国民性とか民族性というのは音楽や楽器によく現れます。現そうと思っていない分、ひょっと現れる真実かもしれません。

こういうストロングな楽器をストロングなジャーマン弓でジャーマングリップでストロングな弦を弾くと、輪郭のハッキリした大きな音がでます。それがドイツ。主張する。

一方カラヤンのベルリンフィルは、それに対して独自の工夫をして、コントラバスはソロ弦(2度高く調弦する)をオケチューニングで使ったという話しを聞きました。

もともと出自の違うコントラバスと他の弦楽器(チェロ・ヴィオラ・ヴァイオリン)を同じ一族にして、1つの音響体を弦楽器全体で作ったのではないかと推察します。

ドイツ流に強い音をそのまま求めると、出自の違いも露わになり、コントラバスだけが一族から離れた鬼っ子になり、弦楽器一家からちょっと離れてしまう。最低音をチェロと比べると6度(ド→シ→ラ→ソ→ファ→ミ)しか低くないのに、この図体をしているのは、長い弦=太い弦=雑音とハーモニクスが豊富という理由です。さもなければ、こんなに作るのも、移動も困難なものが残るわけありません。

フレンチ弓でフレンチグリップで柔らかな弦を弾くと、輪郭が曖昧になり、溶け合うのですが、強い者同士を仲良くさせるためにいろいろ工夫したのでしょう。

ドイツ気質とフランス気質の違いは東京大阪の違いに匹敵すると言います。その内、大阪ベース主義のようなものが出てくるのではないかなと。

外国に長期滞在しているとその時々でよく聴く音楽が変わります。

以前、ブラジル音楽ばかり日本で聴いていたのにこちらで受け付けなくなって驚いたり、モンポウやベートーベン、シューマン、シューベルトが突然グッと来たり。

今回はバッハ無伴奏チェロと海童道。バッハの無伴奏では、アーノンクールとカザルス、寺神戸亮の、がさついた太いガット弦のみOKで、ビルスマも圏外になったのは驚きでした。一方、藤原真理さんはなぜか聴けます。不思議。

ちょっと前に、エアジンでバッハチェロ組曲をやったので、その影響が徐々に出てきているのかもしれません。やはり私のコントラバス観は、バイオリン一族の鬼っ子の方。千葉ベース。

そんなコントラバス2台とバイオリン2台でのセッションが6月1日より始まります。セバスチャンはECHO賞(ドイツのジャズ大賞)を受賞。メールスでも評判だったそうです。本日はこれから皆藤千香子さんのダンス公演を観に行きますが、そこで演奏している喜多直毅さんは、共演ダンサーに、ヨーロッパに深く触れているようです。

そして11月には日本に上陸予定。寝ている場合ではないかも、だけど、いまはアンカを抱えて横になりま〜す。

#JF