赤い紐

 

赤い紐

キャリアの初めの頃から演劇やダンスとの共演が多く、身体と呼吸・音についてはずっと考えたり試したりしてきました。ジャン・サスポータスさんと知り合ってからはさらに多くの体験を経ています。同時に、ダウン症・自閉症・聾・盲・障がい者との関係も進んできました。

それは、こちらから求めて入ったものではありませんでした。ジャンさんにしても、私と知り合った頃から、ヨーロッパで同種の仕事がふえてきているとのこと。

来週からの渡独もまさにジャンさん振付のタンツテアター「私の城」でブッパタールの自閉症施設の記念事業です。(昨年の再演)この企画への参加からもすでに多くのものを得ていて、さらに興味が拡がっています。なんとかして、渡独をしたいと背中を押してくれるものなのです。とめてくれるな、おっかさん。

これらの経験は音楽観のみならず、根本からものの考え方・感じ方の変更を余儀なくされました。それは驚きと発見に満ちていて、何度となく救われました。

大学時代のある講師と(現在は名誉教授)の付き合いは40年になります。もはやトモダチです。ずっと私の活動を気にしてくれ、援助もしてくれるまことにありがたき恩人です。ライブの現場にはほとんど姿を現さず、まさに遠くから見守ってくれているので、客観的に私のことを見ることができるのでしょう。

1回目の退院の日に遠方より見舞いに来てくれたときに「今度の自閉症プロジェクトはきっと君のライフワークなのかもしれませんよ。」とおっしゃいました。私はそのことは考えたことも無かったので不意を突かれた感じで判断が出来ませんでした。

お帰りになって、しばらくしてから、なんとなくジワジワとその考えが分かってきました。導かれるように辿ってきた様々な道程は曼荼羅のようでしたが、ここで一つ結節点があるのではないかという気になりました。血管のように赤い紐が繋がる印象です。

私の残りの時間も実感を伴ってカウントダウンできます。あまりいろいろやっている余裕は無いこと確実です。

さて、明日は群馬県の社会福祉法人新生会http://www.sinseikai.orgで矢萩竜太郎さんとのデュオです。理事長は、「ダンスとであって」DVDを観てくれて呼んでくださいました。嬉しい限りです。また、小林裕児さんhttp://atelier.yuji-kobayashi.netの作品のコレクターでもあります。滅多に観ることの出来ない初期の小林作品も観ることができます。以前には、井野信義・山崎実・齋藤徹のベーストリオ、アマヤドリの広田淳一さん演出での演劇でおじゃましたことがあります。東京三田の教会でジャン・サスポータス、喜多直毅、佐藤芳明・齋藤徹での「浸水の森」の絵の前で演奏したこともありました。

ちょっと都心からは遠いウイークデイの昼間ですが、もしご都合がよろしければご観覧くださいませ。無料です。私もこの公演であらたな発見と喜びを得て、渡独に備えたいと思います。

渡航の準備をしなくてはと思って抽斗をかき混ぜていたらこんなものが出てきました。
臍の緒ですね〜。命を繋げる赤い紐。