沖縄・台湾

 

沖縄と台湾

沖縄那覇のアタカーバルで演奏させてもらったことがあり、いまでも一瞬一瞬を覚えています。導いてくれた翁長美酉さん。(打楽器奏者・プンガポンガ店主、打楽器奏者として私とアケタさんとのトリオでのCDがあります。「パーカッシブロマン」)

ガジュマルが我が物顔で堂々と息づく墓地は、台湾風で、儀式はヤマトと全く違い台湾風でした。

ブラジルに長く住み沖縄に帰ってきた美酉さんは、様々な方面で活発に活動を続けています。素晴らし~。

その中の1つの企画がCDブックに結実した作品を手に入れました。「連接到未来」(TAIWAN BATUCADA ) 何回も台湾に通い、ブラジルの打楽器アンサンブルを導入したり、台湾でのさまざまな民族の古い歌も新たに録音。録音担当が私の諸CDを録音してくれた小川洋さん(スタジオ・プーランプーラン)、ゲストが板橋文夫さん、ガチャピンさんですから聴き逃すわけにはいきません。

5つの少数民族のなかにはブヌン族もありました。ブヌン(ブヌイ)族のコーラスと言えば、小泉文夫さんの紹介で多くの人が驚愕した録音がありました。首狩り族同士が闘いに行く前にコーラスをして、そのコーラスが乱れていれば闘いに行かない、統率が取れていないと負ける=殺される、という解説と共に覚えています。死を賭けた音楽がこんなに身近にあったこと、そしてそのコーラスがアジアの島国のコーラスとは思えないような響き、忘れられないものです。

その後、ECMのチェリスト、デビッド・ダーリングの録音で「おっ」と思いましたが、このコーラスのエピソードがアカデミズムやオリエンタリズムの世界でやりとりされるものでないことを強烈に教えてくれたのがDVD「出草之歌」(NOUドキュメンタリーユニオン)でした。ガンと闘いながら少数民族初の国会議員となったチワス・アリさん(タイヤル族)が台湾・靖国訴訟で来日。民族の入れ墨を真似した化粧を顔に施し、靖国神社前や大阪の裁判所前でこのコーラスをしていました。

昨今台湾は好景気らしく、ピナ・バウシュカンパニーが台湾単独ツアーを実施できたり、即興演奏も盛んでジョエル・レアンドルが行ったり、タンゴやフラメンコも盛んと言います。近藤真佐雄監督によると台湾の映画はすばらしく、内容だけでなく技術的にも日本は完全に抜かれているとの印象だそうです。

私の「ユーラシアンエコーズ」「オンバクヒタム」企画は、西表島浜辺で録音したとき(「パナリ」ジャバラレコード)当地が台北より南、ソウルより西であることに衝撃を受けたことが大きいです。石垣島に新たにできたホールは、客席でも聴衆が三線を弾ける座席配置になっていたり、手拍子で手が合わさるときに下から拝むような形になるのに心奪われました。

現在のような不調が続き、横になっている時間が多くなるとココロはいつしか遠くへ飛んでいきます。