「即興」が格好の「救い」だったりすることがあるようです。やりたいことに「技術」が追いついていかない時の「ごまかし」として、地道な方法よりも「人生」で勝負しようという面倒くさがり屋でせっかちな人にとっての逃げ道として、そして、長年あるジャンルに精通しているのに、越えがたい壁に直面した時の夢のような方法として、などなど。
しかしうまく行くときはないでしょう。そうは問屋が卸さないと言うヤツです。
長年あるジャンルに精通している場合の唯一の方法は、そのジャンルの中にこそ答えがあります。隣の芝生は青いのですが、ブルーバードは家の中にいます。
外国の文化・伝統を専門にしている人にとって話はより複雑かもしれません。誠実にその文化を吸収・学習していると、「いったいなぜ現代・日本の私がこの音楽・ダンスをやっているのだろう?」という疑問に取り憑かれることがあるでしょう。
交通・ネットが発達した現代社会ではあまり関係なくグローバルに世の中が動いているという話とは別に、母語・風土・民族などに初めから刻印を押されてしまっていることも多々あるのも事実でしょう。
さて「裏ねじ9」の森田志保さんはそれらの「答えの無い問い」に果敢に挑戦し続けている希有なアーティストです。立ち向かっている姿こそが唯一の答えであり、立ち向かわざるを得ない「衝動」こそが彼女を導いているのでしょう。健康的と言っても良いバランス感覚は私がついぞ持ったことの無いものです。
焦らず、ゆっくり自分の言葉を待ち、勝負の時が来たらすべてを投げ打って踊る、それです。
昨年からの短い共演歴ですが、安心して、挑戦できる人です。
高木由利子さん監督の短編映画の音楽、そのお披露目でのライブ、セバスチャン・グラムスとのライブ、ジャン・サスポータス/喜多直毅とのライブと続いています。
フラメンコ:イベリア半島、スペイン語、しかもロマの文化(被差別)という現代の東京から見るとはるかに遠い文化ですが、その不可能を可能にさせている志保さんの宿命を目の当たりにすることは共演者にとっても聴衆にとっても幸せなことです。私は「立ち会っている」と言う感覚ですね。
「裏ねじ」←残席1
5月28日(木)19:15open / 19:45 start
■会場:スタジオトルニージョ
■出演:Jean Sasportes(ダンス)齋藤徹(コントラバス)喜多直毅(バイオリン)森田志保(フラメンコ舞踊)







