塩梅

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体調不良も一段落して一週間ぶりにスローランニングを再開。寒風でスッキリする頭であーだこーだどーでもいいことを思い巡らせながらエッチラオッチラ。

セロトニンとかドーパミンとかでランニングハイになるためにはある程度の距離・時間を走らねばなりません。それと引き替えです。ハイになろうと薬物を摂取することとの違いがここにあります。授業料です。

食事と消化吸収について言えば、消化するためにかなりのエネルギーが必要とのこと。病気の時に「栄養・栄養」と言って無理強いして食べることは治癒のエネルギーを奪っているという話も聞きます。吸収についても基本的なことが忘れがちです。数値でどんなに栄養があるものを食べたって、それを吸収する能力を考慮しなければ何の意味もありません。

ある地域の人々は、タンパク質が身の回りに無いので少量のタンパク質も100%吸収して栄養にしますが、タンパク質を「取らねば」とタンパク質ばかり摂っていると吸収する能力も低下するそうです。ちょうどサプリを摂りすぎると、体内で自力でつくる能力が低下してしまうのと同じ。

なんでも塩梅(あんばい)です。

楽器を練習せねば、と音楽性の無い練習を「根性」入れてやっては身体とココロとさらには音楽も傷つけてしまいます。高い志と先達のアドバイスが必要な場合が多い、よい先輩に出会う事は幸せなことです。日本人ミュージシャンのプロフィールは誰誰さんに「師事」と書きますが英語だと「studied with ~~~」が多い気がします。誰誰先生と一緒に勉強した、ということです。勉強した主体は自分自身、きっかけやアドバイスをいただいたという感じが良いですね。先達・師匠を真似するのがイヤだと避けてはモッタイナイ。真似するのはその人では無くその人を通してみえるものなのです。「まねぶ」→「まなぶ」。

睡眠もエネルギーを使うので若い人は長時間眠ることができるが老人は短時間で起きてしまう、という説も最近実感として「ホントかも」と思うようになりました。

塩梅です。

嗜好品についても言えそう。タバコ・コーヒー・アルコールなどなどは極端に言ってしまえば「身体に悪い」から「良い」「おいしい」「やめられない」のかもしれません。インドネシアの絶景の孤島でも地元のおとなは強い香りのタバコ「ガラム」を吸っています。あんなに環境の良いところであればあるほど身体に悪いタバコが必要で、さらに、美味しい。私も喫しました。うまかった〜。ヒトはあまりに良い環境には「耐えられない」のでしょうか?「健康のためなら命も要らない?」という健康オタクが病気になりがちなこととも無縁ではない気がします。

健康で正しい身体は素晴らしいことです。しかし、そこに「毒」を少し(良い塩梅で)混入し、健康を確かめたり、さらには健康を増進できたりすることがあるのかも知れません。

ピュアなものは「弱い」というのが生物界の掟。天敵にやられやすいからです。やられる、とは絶滅すること。雑種こそ強いのです。生き延びることが唯一の正解ということからの発想。水清ければ魚棲まず。

塩梅です。

好きー嫌い、快ー不快で判断することも要チェック。大事なのは、判断の時間を惜しむのではなく、立ち止まって考えることです。(考えるとは一語一語つまずくこと。一穂)
音はどうでしょう。
ノイズじゃなきゃイヤだ、とか、ノイズは一切受け付けませんとか様々な方がいらっしゃいます。
即興じゃなきゃだめ、堕落、メロディやハーモニー、リズムが入ってくるのは軟弱、などおっしゃる方もいらっしゃいます。

これも塩梅でしょう。

たとえばガット弦の音はその雑味と不安定さでとてもノイジーです。でもバロックやタンゴ・ジャズで記譜された作品を弾くととても馴染みます。逆にノイズだらけのところにサインカーブの音を付け加えるととても目立ち(耳立ち)ます。

大音量でなくても無音が確保されていればダイナミックスは無限大です。アコースティックでやっているインプロを大音量にアンプリファイしてみたら、所謂ノイズミュージックよりノイジーでしょう。なにしろ胎児の時に私たちは巨大なノイズの血流音を10ヶ月聴いてきたのです。

音楽の表面ではなく、ちょっと深いところを聴くようにしましょう。

調子に乗って飛躍して拡げてみます。

ヒトはよく嘘をつきます。もちろん私も。正直に生きたいと思っても小さな嘘を重ねてしまったりします。私は子供の頃、自分で言うのは何ですが、たいへん嘘つきでした。子供乍らに言い訳を駆使してもいつかは破綻します。バレる時のドキドキはいまだに覚えています。

音楽では嘘が不可能ということに希望・願いを見いだしてこの世界に入ったのかも知れません。人間にとって音楽が必要なのはそういう側面もあったりして・・・・

では、さまざまな塩梅をどうやって見極めるのか・・・

唯一の方法が「からだに貞く(きく)」こと、そして素直に慎重に歓んで従うことでしょう。たまに間違えても良いのです。

寒風の中ゆっくり走っていると汗や鼻水がクチビルをぬらします。「しょっぱい」です。「海」です。ヒトは海からやってきました。

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