オンバクヒタム公演@シンガポール終了
役目を果たせた充実感は何事にも代えがたいです。不安な気持ちでの採譜、体調不良、熱帯などのなか、多くの人達(特にZai とLin Shiyun)のおかげさまで無事終えることが出来ました。ホッ。
アジアを多く旅してきた知人によるとマレー人が一番入りにくい、とのことですが、精一杯やりました。もちろんムスリムの彼らと酒を酌み交わしてという訳にはいきませんが。
演奏のだいたいの進行は
古いガザールでPak Ngah Balikの序を演奏(Zai,Firdaus,Qamar,Mat nor) 歌手のShariahもステージ上。
Mr.T.Sasitahran(インド人)のスピーチ:通称サシさんのスピーチ、サシはインド人哲学者・教育者として大変尊敬されています。20年前私が初めて公演したときのサブステーションの代表でした。ザイの活動をずっと応援しています。
ザイのスピーチと紹介でアトック(ザイの父親)と私が舞台へ登場(会場裏のベランダが楽屋・大変蒸し暑い)、
1:アトックの短いアラブ音階イントロ(C7♭9)でPak Ngah Balikの演奏(アトック、アコーディオンと共に歌も披露)ヘ短調と変ロ短調が基本ですが、変イ長調にもなります。
2:SERI MERSING ドミナント7から入り1小節でト短調へ変わるところが妙。
3:SITI PAYONG イ長調の明るい曲調、A7からG長調へ自然に変わるところが妙。7度の使い方とドミナント7が私の感覚より長いので自然に戻ろうとしていつも冷やっとします。
4:NASIB PANJAN バイオリンが歌も歌いながら演奏。GからEmになるのが意外に新鮮。
5:SAYANG MUSALMAH イ長調 AからB7にいってE7に行くところが印象的
6:DONDANG SAYANG ロ長調 ここでアトックと同年配のバイオリン奏者TOK AYUBが息子のReefと共にゲスト参加。ここでも予定外にアトックが歌い出し、歌姫・バイオリンと掛け合い。途中でリズムが倍の早さに。コントラバスもスティックで打楽器と化します。
15分休憩
1:ザイとアトックの掛け合い漫談(のような感じ) ムスリムの円筒形の帽子の上に最近行って来たオーストラリアのテンガロンハットをかぶって戯けています。太鼓を叩きながらのこういうおもしろ掛け合いは韓国シャーマンでのクッを思い起こします。会場中が爆笑になります。
2:Zapinをザイとアトックと私で演奏。CmーB♭ーA♭ーG7と変化するのはフラメンコとよく似ていますが、B♭が時々B♭mになるところが私の想定外、またG7 のところが伸びてアラブ音階でドンドンとインプロになります。
3:SHAIR アトックと私のデュオ1曲目 リハの時はDmだったりCmだったりしましたが、本番はGmで落ち着きました。リズムは無し。黒潮が深く流れるような演奏。時々4小節のリズムがはさまります。そのリズムが日本のかつての路上物売りのリズムに聞こえてきます。金馬師匠や圓生師匠がやっていた物売りです。
4:GURINDAM KAMARUZAMAN デュオ2曲目はB♭のリフをはさみGmで進みます。アトックは深い記憶のような演奏です。デュオ2曲では私も現在のありったけを出しました。もちろん伴奏はしっかりとしますが、少し表へでます。それをいくらでも受け止める83歳のアコーディオン。やはり大きい。
5:GURINDAM JIWA それはそれは美しいバラードです。YouTubeでも何曲かありますね。ニ長調なので、コントラバスのハーモニックスを使って演奏しました。歌姫Shariahはこの曲では後半でかならず泣いてしまいます。
6:MAKAN SIREH ドミナント7で入る美しい曲。
7:TIMAG BANJAR 最後の曲です。ここまで演奏すると体力も心配なアトックですが、(重たい)アコーディオンを持って立ち上がり歌いきります。マイクが無いので小さい声のところで伴奏もみんな小さくなり、会場中で耳をそばだてて聴いている感じがとても良い感じです。FからB♭さらにA♭、E♭と変わっていきます。
アンコール:1、ベサメ・ムーチョ 2、タブー とラテンが続きます。タブーは曲名が知られていなくてこちらではチャチャチャマンボ60と言うそうです。加藤茶とチャチャチャですから合っています?
まだまだおさまらずZapinで会場中大合唱。大団円。自分の歌を持つことは素晴らしき哉。