牡丹と馬 リハーサル

風の器の公演リハーサルが続いています。彼らはすでに数ヶ月間やっているそうです。最初は演劇的要素が強かったのですが、だんだんだんだんと削ぎ落としていって今のカタチになったそうです。台詞も有りませんのでダンス公演とも言える仕上がりです。ごく簡易な大道具・小道具で作って行く舞台は大げさなものよりスッキリしていて、やる方も観る方も、集中できるので好ましいです。
ひょっこりひょうたん島でお馴染みのひとみ座の中にデフ・パペット・シアターがありその関係もあり、先日はひとみ座でリハを行いました。今回は女優の南雲麻衣さんも、舞台監督兼俳優の榎本トオルさんも、照明も参加。
庄崎さんと南雲さんは一緒に作り上げてきたということで息もピッタリ。お二人とも、最高度にすんばらしい表現者です。南雲さんがコントラバスの弦を触るところ、私と一緒に弓で弾くところ、私が南雲さん(牡丹)の親の長者役なので、親子げんかをするところ、私が寝ながら弾くところなどの場面がドンドン進んでいきます。
彼らは練りに練ってきているのです。私だけが初めてな状態。頭をフル回転させ、ありったけの能力で、アンテナを張り巡らせ、やっとこさついていく感じでした。高度にソフィスティケートされ、創り上げられた舞台ですが、インスピレーションや即興的な要素も十分発揮できる大きさもあります。そして、リハーサルが終わると大変すがすがしい気分になります。
聾唖者と音楽との関係は直接的ではありませんが、共感があり目的を共有していれば必ず繋がります。ありきたりの反応とは話が違います。そんなところでやっていないのです。
他の経験で言うと、ワルシャワで美術家アバカノビッチさんとのコラボレーションがあったとき、何十年前かの作品でも、創った時のイマジネーションが共感できた気がしました。スパイラルホールで土方巽「肉体の反乱」の映像に音をつけた時も、途中で何回も土方さんとデュオをしている錯覚に囚われました。空間や時間を越えることは可能なのです。
庄崎さんは稽古の時は補聴器をつけて私の音を身体に入れ、本番では外すということです。本番でハウリングをしたり、落ちたりするのを避けるのと、同時に、深く信じ、集中するためでしょう。私もそれに答えたいものです。
ベースアンサンブルのDVDを収録した時に「いずるば」で照明をしてくれた武田さんと庄崎さんは旧知の仲だったり、ポレポレ東中野で庄崎さんの主演映画「ゆずり葉」を上映していたり、偶然は重なってだんだんと必然になりつつあります。
ドイツより帰国後2回のリハーサルで8月25日の本番です。野方ウイズホール。「牡丹と馬」お楽しみに。

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