ワールドミュージックの館 vol.4

ジャンさんラストの前に、ポレポレ坐で私の参加する「ワールドミュージックの館」があります。峰万理恵さんと高場将美さんのデュオに私と喜多直毅さんが参加する形になって4回目。中南米音楽の紹介、評論、訳詞などで日本では最大の貢献をしている高場将美さんが惚れ込んだだけあって峰万里恵さんは「詩」「詞」を何より大事にしています。
毎回さまざまな企画でやっていますが今回はずばり「ヴィニシウス・ジ・モラエス」特集。私はかつて高場さんのことを「日本のヴィニシウス」と呼んでいました。音楽を愛し、詩を愛し、酒を愛し、人間を特に女性を愛するその程度の大きさが似ていると感じたからです。ミュージシャンよりも音楽を愛し、詩人よりも詩を愛す、9回の結婚、ステージにはかならずボトル。
ヴィニシウスは作曲もしましたが、やはり何と言ってもブラジル文学史に残る詩人です。詩の理想的な状態としてメロディに乗せて歌う。ブラジルならではのことかもしれません。バーデン・パウエルにしろトッキーニョにしろヴィニシウスと組んでいた頃に彼らの人生の最高傑作を作曲しました。何日も何日も合宿状態で飲み放題、風呂入り放題で才能が開花したわけでもないでしょう。何より詩・言葉のすばらしさが最高のメロディを生み出したのです。後年、シコ・ブアルキが詩を書くとジョビンもエドゥ・ロボも最高のメロディを生み出したのと同じです。
私のブラジル狂いはヴィニシウスが亡くなった1980年ころから始まりました。FMでヴィニシウス追悼番組をやっていてカセットに録音、くり返しくり返し聴きました。そこからブラジル音楽の泥沼にズブズブと入っていったのです。ヴィニシウスのピンクのLPジャケットをみて赤ん坊の頃の娘がニッコリしたのを見て何日もうれしかったのを思い出します。
映画「黒いオルフェ」の脚本を書き、ジョビンを見いだしただけでもブラジル音楽史での最大の貢献をしたと言えるでしょう。外交官としてもフランスなどで勤務。千恵の輪トリオで共演したオリヴィエ・マヌーリ(バンドネオン)によると、彼の相棒ピアニスト(ウルグアイ人)が政変に巻き込まれたとき、外交官だったヴィニシウスが彼を自分の車にかくまってウルグアイを脱出したそうです。何人ものミュージシャンが恩恵を受けているのですね。さすがにお酒が元で外交官は辞めたそうです。
今回のワールドミュージックの館では日本のヴィニシウスがブラジルのヴィニシウスの詩の朗読もします。「私の祖国」。これは貴重でしょう。チラシのイラストも高場さんです。多才!

ワールド・ミュージックの館~峰万里恵と仲間たち~
「第4回詩人ヴィニシウス~ブラジルのうた~」

わたしの祖国は 光………………
わたしの中に生きている、ひとりの娘のように
おまえはとある愛情の島その島は
ブラジル、たぶん……

日時:2012526日(土)18:30 open / 19:00 start
出演:峰万里恵(うた)、齋藤徹(コントラバス)
    喜多直毅(ヴァイオリン)、高場将美(ギター、話し)
料金:予約3,000円/当日3,500円(ワンドリンク付)
予約:03-3227-1405(ポレポレタイムス社)E-mail : event@polepoletimes.jp
制作:峰万里恵と仲間たち/ポレポレ坐
   
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今年はじめてのワールド・ミュージックの館は
ブラジルのヴィニシウス・ヂ・モラエス Vinicius de Moraes の詩を歌います。ヴィニシウスの生きた時代は すばらしい作曲家がたくさん活躍していたので魅力的な詩と共に ブラジル音楽の美しさを味わっていただけると思います。
高場さんのおはなしも楽しみです。
徹さん、喜多さん、高場さん、峰の4人と
ポレポレ坐の心あたたかい方々と一緒にたくさんのみなさまのお越しをお待ちしております。
どうぞよろしくお願い申しあげます。
では、ポレポレ坐でお会いすることを 楽しみにしております。
(峰万里恵)

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