エリントン楽団のベーシスト達

もう40年近くレコード、CDを聴いてきました。クラシックやジャズで始まって現代音楽、民族音楽、タンゴ、フォルクローレ、シャンソン、ブラジルなどなどもうたいへん。植草甚一さんだったら「僕は何万時間レコードを聴いてきた」なんていうでしょうか。(随分むかし新宿ガード下で流しの歌手のうたを聴いている甚一さんをお見かけしたことがあります。)
この1ヶ月デューク・エリントンを頻繁に聴いています。私にとってベストジャズ録音は、彼がエリザベス女王のために1枚だけ作ったという「女王組曲」だったりします。(自分が死ぬまで公開しないという約束だったそうです。今は誰でも聴くことができます。)数々のポピュラー楽曲の他に、大作揃いの組曲もの、まるでダンスバンドのようなもの、最晩年自分のためにやり続けたという教会コンサートシリーズ、自身のスゴイピアノをフィーチャーしたもの、その範囲は見渡すことも大変です。
さすがに合州国のスターだったので映像も録音もたくさん残っています。その中でも60年代のある時期の映像が多くあります。私の目と耳は自然にベーシストにいきます。ジョン・ラム、アーニー・シェパード、メジャー・ホリーなど所謂ジャズの本にはあまり出てこない奏者達が本当にスバラシイ。そのころのメインドラマーだったサム・ウッドヤードと一緒に思わずニヤッとしてしまうビートを作り出しています。もちろんガット弦です。これぞ、ズージャ。
ジミー・ブラントン以来、エリントン楽団ベーシストの伝統はもっともっと注目されて然るべきです。それに値する仕事をし貢献してきています。エリントンコンプレックスの塊だったチャールス・ミンガスもほんの一時期、憧れのエリントン楽団に入りましたが、メンバーと刃物沙汰のケンカして辞めさせられました。(エリントンが自身から辞めて欲しいと言った極少ないケースだそうです。)ミンガスの曲「道化師」をエリントンバンドが演奏した時のこと、エリントンが聴きに来ていたミンガスを紹介したのですが、恥ずかしくてトイレに隠れてしまったそうです。エリントンの「道化師」聴きたいですね。
ジョン・ラムをフィーチャーした曲には「もっとも美しいアフリカ女性」「アドリブオンニッポン」という大曲があります。どのテイクのソロもスバラシイ。世界的エリントン蒐集家のYさんのお陰で随分いろいろなバージョンを聴くことができました。ありがとうございます。エリントンのMCによるとジョンはフィラデルフィアシンフォニーに在席していたということです。アーニー・シェパードは「A列車で行こう」で歌とベースのユニゾンで楽しいソロがあります(YouTubeにあり)し、歌で有名なメジャー・ホリーはエリントンのところでは歌わずスゲービートを聴かせます。
ジョン・ラムの映像にはホアン・ミロ本人が聴いていたり、ジャコメッティの彫刻のところでやっていたり、また、コントラバスの肩がえぐられている特殊な楽器も使っています。(同じくエリントンベーシストのヴィクター・ガスキンは星形の穴を開けた!ベースを弾いています)みんないろいろと研究を怠らなかったのですね。
極東組曲にいたる時期のエリントン・ストレイホーンの作・編曲はウルトラモダンです。ストレイホーンが亡くならずあのまま行ったらどうなっただろう、と思う気持ちはドルフィーと同じです。いつもこころにスウィング。

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