ベルトラン・ゴゲ2days その2 @バーバー富士

バーバー富士、世界的に有名な床屋さんです。何が?床屋の特殊技術や外観・内装などではありません。ここで23年間、国内外の著名インプロバイザーが91回もコンサートをしてきているのです。私は名誉ある最多出演者(20回!)です。ハウスベーシストですね。第1回目がデイヴ・ホランドとルー・タバキンデュオだったそうです。
始まりは、わざわざ東京へ聴きに行くより自宅でやってしまおう、地元でこそみんなで好きな音を聴きたい、ということでしょうか、しかし23年91回となるともはや「歴史」です。世界中のインプロ界でその名は広まりました。
今年は3回も出てしまいました。1回はジャン・サスポータスさん(ダンス。あの空間で踊ったのですよ)。この会は、地震の影響で一度は延期されましたが、すぐに補うことができました。2回目はつい10月のミッシェル・ドネダ、レ・クアン・ニンのツアー初日。そしてベルトラン・ゴゲ。いや濃い濃い。ジャン、ミッシェル、ニンというベテランと若手ゴゲ氏(と言っても40歳)でした。
前日のズミで泉さんが「こういうカフェをやっていても、オヂサン達が来ない、私と同世代の団塊の世代のオヂサン達よ!あの熱い青春時代を忘れたか!」と檄を飛ばしていましたが、ここ上尾は「オヂサン」達が多数派。3人のオヂサンが最前列にならんでいると迫力有ります。
演奏は、デュオならではの親密さもあり、昨日と同じく濃密な空間になっていき、それこそピンが落ちてもハッキリと聞こえるような状態が続きました。演奏音は沈黙との相対で成り立っていることを再確認できます。彼はサックスのマウスピースと口との角度をコントロールしてさまざまな音を出します。彼独自の音として特筆すべきは「石笛」(いわぶえ)のような音があります。多くの風音の中に微かに楽器の音が混じる、これは大変魅力的です。
ヨーロッパのインプロ奏者との演奏では、楽器による音量の差はまったく問題になりません。サックスは音が大きいからな、とか、打楽器とベースは生音ではムリとか、考えたことがありません。あまり話題になりませんが、この国の多くの演奏家との大きな差と言って良いでしょう。
いつもの焼きおにぎりとサラダ、天ぷらでの打ち上げの後、千葉へ帰宅。フランス人がみんな喜ぶDVD「想い出のサンジェルマン」(ジャック・バラティエ監督)の中の若きボリス・ヴィアン、アルトー、グレコ,コクトーなどを肴に楽しく夜が更けていきました。

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