ベルトランゴゲ2days その1@ cafe dzumi
なぜ日本にそれほどの愛着を持ってくれているのかわからない人たちが私の周りで増えてきています。ジャン・サスポータスさんを筆頭にアメリカ人ジェーン・リグラーさん(fl.)、パール・アレキサンダーさん(cb)、フランスのイサベル・デュトアさん(cl.voice)、そしてベルトラン・ゴゲ(as)さん。それぞれが一流のダンサー、演奏家でありながら、自費だったり、助成を申請したりして何回も何回も来日をくりかえしたり住み着いてしまったり。特に今年は放射能の影響で、家族・親戚・友人・知人「行くな行くな」大合唱の中、来ているのです。オー、ジャパン、スバラシイ!エキゾティック、ファンタスティック!というレベルは遙かに越えています。
そういう人たちの話を聞くことはとても有意義なことと考えます。
ベルトラン・ゴゲさん、10年前にレンヌでコンサートを企画してくれた好青年がたくましくなっていました。レンヌではミッシェル・ドネダ、久田舜一郎さんとのトリオでした。何百キロの移動してのかなり過酷な日程だったことはよく覚えています。彼は美術も勉強し、ジャズ、パンク、インダストリアルを経て現在はストラスブールのアートスクールで教鞭を執り、演奏はインプロバイズドのみ。多くの本を読み、多くの映画を観、文化的なものには常にアンテナを張り巡らし、同時に現代社会に対しての情報も細かく収集、行動にも出ています。帰国後は日本での経験も加えて、反原発運動にもっともっと関わりたいと言っています。
カフェ・ズミとは4年前に知り合いました。ズミさんの豊かな経験と人間観察、人生と音楽観は共感するところがあり、毎年暮れに演奏させていただいています。フリージャズからインプロにかけての知識・情報は半端でなく、オタクを軽々と突き抜けていて、誰もついて行けず、どこに自分の気持ちをぶつけていいのやら、という感じでしょうか。私は、もっぱら世界中の歌や人生の楽しみなどを共通の話題にしてお付き合いしていただいています。
その影響でしょうか、過去三回、即興演奏と楽曲演奏を半々にしていました。(1,2回はソロ、3回目は喜多直毅さんとのデュオ)今年はゴゲさんがいるので今井和雄さんとのトリオで即興のみにしました。ナンシーミュージックアクションで「影の時、le chance pour l’ombre」(ミッシェル、ニン、徹、一恵、和雄)のヨーロッパ初演を客席で聴いていたということで今井さんのことも知っています。
暮れなずむ絶景を楽しみつつ準備、一人一人お客様も到着、さあ、と一部が始まり、「私はこうやって演奏しています(生きています)」という自己紹介的な導入を経て時間がたつにつれ三人とこの時の空間、聴衆、演奏家でないと成り立たない空間にどんどんと変化していきました。演奏が終わったとき、聴衆と演奏家と空間が行き着いたところは、2011年12月、吉祥寺、カフェ、午後7時半、とはかけ離れていたようで、4~5分間、聴衆はだれも椅子からはなれず、無言のままの状態が続きました。「ここはどこ、わたしはだれ」状態だったのでしょうか。
そういえば昨年は帰国してしまったジャッキー一家もいたし、出会ったばかりのさとうじゅんこさんもいました。パールも来てくれました、ベースアンサンブルはまだ企画段階でした。今年は体調を崩されていると聞くお着物をおめしのご婦人、お元気になられたでしょうか・・・・一年に一回やっているといろいろな一年が見えてきます。
ズミで軽い打ち上げの後、幡ヶ谷「塩」で本格打ち上げ。フランス人演奏家にはチョー受けているところですので、連れて行かないわけには参りませぬ。この後、イサベル、ジャック、ミッシェル、ニン、フレデリック達と「塩」の話題で盛り上がるでしょう。
本日は幡ヶ谷泊まり。明日はバーバー富士でデュオ。