精霊に叱られた日

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ワールドミュージックの館 第一回 終了
峰万里恵・高場将美さんに喜多直毅さんと共にお呼びいただきポレポレ坐での演奏終了しました。3月に行うはずが延期されたものです。現場に着くと、何か普段と気持ちが違います。よく考えれば、私の演奏活動は、すべてが自分が中心か同格。他の企画での演奏はとても稀です。そう、今日はそういう日なのです。
高場さんと知り合いになって四半世紀いつも刺激をいただきます。日本でラテン音楽に関わる人はすべて高場さんに甚大なお世話になっています。すぐれたラテン諸国からの音楽の紹介、音楽家とのインタビュー、大量の文章、レコード解説、コンサート司会、レコード紹介などなど。「中南米音楽」「ラティーナ」「パセオ」編集長時代も寝食を忘れて、身を粉にして(アルコールのみで?)やってきました。タンゴが流行り、ブラジル音楽が流行り、フラメンコが流行ると、スッと編集長を退きました。
久しぶりに会った時「峰万里恵さんの伴奏者です」と自己紹介されました。それから10回くらい共演したでしょうか。いかんせんコントラバス1本での私の力では、お二人のサポートを十全にできません。昨年夏、直毅さんに、恵比寿NNでのお二人のデュオで聴いてもらい、暮れにズミで正式に紹介し、1月に共演実施。楽しく演奏できました。おそらくそれで確信を得たのでしょう。齋藤真妃がプロデューサーとしてポレポレ坐での話を持って行ったら、万里恵・将美さんは、このカルテットでやろうと言うことになったという次第です。
ちょうど直毅さんと私が宮沢賢治ものをやったときに二回とも来てくれました。高場さんは長年にわたり賢治さんを読み続けているとのことで、直毅さんの朗読をいたく気に入っていて二回とも落涙されたとのこと。
リハーサルではすべての楽譜を手作りして、当然、ご自身の訳を書いてくれます。それがパソコン文字と違ってとても良いのです。その字が賢治さんの自筆と大変似ているのです。「春と修羅」「17歳に帰る」を比較してください。同じ精霊なのかしらん。
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高場さんが当日、オブジェを飾り、水を供えました。私にはアジアにつらなる結界的なオブジェに見えてしまいます。似たものをインドネシア、マレー、沖縄で見ました。「精霊たちのつくったうた」というのが今回のテーマなので、飾ったということ。直毅さんも万里恵さんも,そういう話が好き、というか、ごく当たり前のこととして信じて疑わない。水にまつわる二人の話には立ち入れませんでした。
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信仰の薄い?私が精霊のお叱りを受けたようで、弓の毛を束ねているところが外れ、演奏中に毛が外れてしまいました。タンゴ「両親の家」を演奏していましたが、だんだんとゆるくなってきて、わたしがメロディを弾くところではほとんど張力が無くなり、最後の部分では弓の棒のところで弾いていました。
思えば、わたしも無意識でかすかに予知していたようです。普段と違って何の小道具もいらないし、弓1本と松脂だけでいいという本来?のベーシストの状況を楽しもうと、最低限の持ち物で軽く行くぜ、ヤッター、とうきうきで用意をしていましたが、出かける直前にふと、2本入りの普段のケースに替えていました。
第二部では、録音機のボタンを押し忘れるは、リピートマークの回数を間違えるは、皆さんにご迷惑をかけました。どこかで動揺していたのでしょうね。申し訳ないです。
800年400年まえの詩をほんの少し替えるだけで歌うファド。スゴイですね。源実朝さんの歌を歌謡曲にできません。アフリカ系ブラジルの歌(ブラジルの巫女 マリア・ベターニャさん歌)、グアラニ語の歌など、もの凄い伝統曲の間にあって、ビオレータ・パラさんの歌は引けを取らないばかりか、一層輝いていました。時と場所を超越した真の天才です。
チャベーラ・バルガスさんはフリーダ・カーロさんと恋愛関係だったそうですが、映画「フリーダ」ではチャベーラさん自ら出演してフリーダ役の女優さんにこの「泣き女」を聴かせていました。サンチャーゴのチャカレーラが何曲かありました。高場さんから渡された参考音源には、ヴィクトリア・ディアスさんの歌がいくつもありました。盲目のハーモニカ奏者ウーゴ・ディアスさんの妹だそうです。今、インターネットで検索しても全然出てきませんが、ヴィクトリアさんのリーダーLPも高場編集長「中南米音楽」時代には日本に紹介していたのですね。スゴイ。
ともかくとても濃い選曲でした。次回は9月10日、女性が作った歌特集だそうです。どんな曲が出てくるのでしょう。楽しみです。
今までの通例ですと、何日か後にhttp://mariemine.web.fc2.com/の中で、当日配布した高場さんの解説・訳詞が載るはずです。ご来場いただけなかった方は是非ご覧ください。

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