なにやら濃厚な日々

27日 時差ぼけをゆっくり楽しんだジャンさんは昼過ぎに起きてきた。午後、ジャン教授を送りに東工大・世界文明センター(すごい名前でしょ。)に行く。菅直人・吉本隆明・小室直樹ゆかりの東工大。センター長ロジャー・パルバースさんと面会。ジャン教授は手続きをサッと済ませ、滞在費などをもらっている。面会中、来客が来るとその人に合わせロシア語に難なく切り替えるロジャーさんは語学の天才。来年は「ラフカディオ・ハーンの夢」というご自分の最新小説を元に映画を撮るということ。(本人が監督。戦後の沖縄から話は始まるそうだ。そうそう、ロジャーさんは大島渚の戦メリの助監督だった。)
その後、沢井一恵宅でのリハーサルにジャンも同行。いままで、後藤真起子・菊池奈緒子とはドイツで会い、西陽子・丸田美紀とは日本で会っていたが、そのすべての師匠の一恵さんとは初対面だった。なにやら始まるかも知れない予感。ジャンは、昨年のオペラシティでの一恵さんのグバイドゥーリナ・坂本龍一オーケストラ作品コンサートはしっかり行っているし、私と一恵さんと神奈川フィルの「ストーンアウト」映像はお気に入りだという。
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一恵さんとの「かむなぎ」最終リハーサル。シャーマン的直感の一恵さんは、ジャンたちがいるだけでまったく違ってくる。やはり、誰かに聴かれてこその音楽。今までで最高の出来、激しくもあり美しくもあり、ともかくコトバではムリ。かくしてリハーサルと言う名のコンサート(儀式か?)が終了。高揚した一恵師匠は、正倉院の楽器レプリカを取り出し、ジャンに聴かせたいという。高橋悠治作曲の「畝傍山」の部分を聴かせる。ジャンもしっかりサワイカズエを受け取っている。
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「かむなぎ」が激しいダンスの神降ろしシャーマン儀礼だとすると「畝傍山」は深夜に秘儀として行う神降ろしのようだ。ちょっとでも居住まいを正そうものなら衣擦れの音で聞こえなくなってしまうような最少音量。これもいかにも一恵さんらしい。
ジャンも大喜びで幡ヶ谷に帰り、鍋屋で夕食。ダンサー・ジャンは食べ過ぎを少し気にし始めた。今日は気にしなくて良いいんじゃない?放射能の中でも人々が精一杯生きている実感の日でした。
翌日、ジャンはセッションハウス・東工大と回り夜「塩」へ。ベースアンサンブル「弦・gamma/ut」のメンバーが打ち合わせという名の会食。短期間のグループだからこそコミュニケーションは大事。そういう状況を導くのもまた年長者の役割か。
「塩」の心づくしに感激しつつ、酒量がいや増す。打ち合わせは本当に名ばかりになりにけり。ベースアンサンブルのDVDになるkadimaシリーズの新作・ジョエル・レアンドル盤もちょうど届き、みんなで手に取り、なんとなく現実味が増してくる。
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翌日、ジャンは東工大インターナショナルハウスへ。私は昼から一恵さんとレコーディング。邦楽ジャーナルスタッフ・録音技師も揃い、和気あいあいの中にも一恵さんの緊張感はビリビリ伝わってくる。
位置決めをして、音調節終了。さあ行きましょう!で始める。さすがに一恵さん、今日ここにピンポイントで焦点を合わせてきた。リハーサルとはスケールが違う演奏に全員、唖然・呆然。終わってもなかなか拍手もできない。当然のごとく1発OK。これぞ演奏家。録った音を聴くとまるで生き物のようにうねっている。これぞ沢井一恵。THE KAZUEだ、と全員が納得。
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一恵さんとの演奏は、「共演」ではない。演奏する私も、録音技師も、プロデューサーも、観客も、名誉ある「立会人」になるのみだ。今・ここで起こっていることすべてを共有したいという意識になる。
翌日、午前からベースアンサンブルのリハーサルat「いずるば」。いくつかの課題を一つずつ確かめながら一番良いであろう方法を探っていく。いつもより多めのリーダーシップを使い、みんなの良いところを出すべく、全体がよくなるべく知恵を絞る。
世の中は黄金週間だが、私たちは低音週間だ。明日の最終リハが終わると怒濤のライブ・収録が始まる。
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