ミモザ号出航準備での大切な気づき

門天ホールとポレポレ坐でのリハーサルが続いています。長時間リハーサルをするのですが、最初に「ジャンさん体操」をしているせいでしょうか、ほとんど休憩をとらず、真剣で楽しい時間が流れていきます。ピアノ調律を終えた(大変な仕事だったようです)辻名人も体操に参加。「作業のあと、これは良い!」とお喜び。台湾のブヌイ族(首狩り族)が戦に行く前にコーラスをして、コーラスがうまくハモらないと戦に行かない、なぜなら息が合っていないと逆に首を狩られてしまうから、という小泉文夫さんの話を思い出します。一緒に体操をして(特にジャンさん体操は気功や合気道などから取り入れた呼吸法を重視しています)息を揃えることで、リハがスムーズに進行しているようです。

ジャンさんのリハーサルに臨む姿勢が皆の刺激になっています。ともかく真面目に取り組んでいます。「テツさん、この公演なら普通リハーサルに3ヶ月かかります。」とのこと。ていねいな仕事こそが現在と先に繋がることをしらされます。日本での公演準備が、決して「やっつけ」仕事と言うわけではなくても、演劇もダンスも音楽もともかく忙しいです。(正真正銘の「やっつけ」仕事も経験したことがあります・・・・)

以前のブログでジャンさんの「ポジティブ」さのことを書きました。一緒にリハをしているとその「ポジティブ」さの由来と覚悟を感じます。約束の時間の一時間前からストレッチをしています。ともかく真剣に取り組み、一つ一つの試みに、皆の意見を求めます。真摯に聞いてくるのでこちらも真摯にならざるを得ません。単なる脳天気なポジティブさとは全く違います。

自分のパートだけを「恥ずかしくないように」こなし、本番を乗り越えようという発想とは全く違う。「自分は自分の職分をプロ意識に基づいて全うするから、他人もそうすればよい、あとはプロデュースの責任」という日本でよくみられる「プロ意識」とは、全く違うわけです。

舞台に関係するすべての人が同格で、自分の仕事=他者の仕事という意識。全体に対して個人個人が責任を持つという「個人主義」。自分の精一杯の取り組みを担保にして、他者へ意見を聞き、答える。それはとりもなおさず舞台全体のためであり、ひいては自分のためにもなる。

音楽に集中していると、言語中枢がおろそかになるのでしょう、私の英語はどんどんひどくなり単語はでてこなくなりますが、破綻した中学英語で精一杯答えます。

参加しているすべての人が、貴重な気づきを得ているはずです。ジャンと街を歩いていると、自然にゆっくりと、大股で、背筋を伸ばして歩くのが「移って」あらたな気づきがあるのと似ています。これも大きく言ってミラーニューロンなのでしょうか。

今週金曜・土曜が本番です。まだ席があるようです。お時間が許せば、ぜひご来場ください。

*2010年 4月9日(金)、10日(土)19:00開場 19:30開演
*会場:Space & Cafe ポレポレ坐 http://za.polepoletimes.jp
ポレポレ坐 「徹の部屋 」vol.7
*画・詩・演奏・ダンス「ミモザの舟に乗って」
* 出演:齋藤徹(コントラバス)、黒田京子(ピアノ)、ジャン・サスポータス(ダンス)
詩朗読/笠松環(9日)、米澤美和子(10日)画:小林裕児/作曲:齋藤徹/詩:乾千恵

一枚の絵画から、いくつもの音楽が生まれ、追悼の詩が躍りだした。

太古の時代から現在にいたる、めくるめく生々流転の曼荼羅。

点滅するあなたと私の記憶/物語が息を吹き返し、

音となり、言葉となり、踊りとなって、今、ここで幻響する。

絵画:小林裕児「朱い場所」(2008年、テンペラ・油彩、273×350cm)
詩:乾千恵「ミモザの舟にのって」
音楽:齋藤徹作曲「水無川」「蓮と事情」「金羊毛とミモザ」「青髭マントラ」「マラケシュ」「舟唄」「タフタのハバネラ」「旋回の効用」「山羊のジュンバ」ほか

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