東北から静岡へ、そしてコロンビアまで

仙台より帰り、一息ついて、すぐに静岡へ。CD「three day moon」のジャケットアートを提供してくれたり、昨年の千恵の輪トリオ・7つのピアソラツアーのバンドネオン奏者オリヴィエ・マヌーリを紹介してくれている美術家森妙子さんと妹さん(世界の森シスターズと呼ばれている?)がプロデュースしてくれた。

セッションハウスの夏の定例ワークショップで来日中のジャン・サスポータスさんとのデュオの予定で始まった企画だが、妙子さんの友人ニューヨーク在の橋本真奈さんが急遽帰国、参加することになった。

昨年の夏の帰国時に、1回三人で会ったことがある。真奈さんは、音楽を志してアメリカ留学していたが、途中で徐々に視力を失っていった。その後、ダンス界に移り、アメリカを中心にダンス、ワークショップなどで活躍している。昨夏は、ジャンのワークショップに臨時参加したことがあり、ジャンはじめ参加者に強い印象を与えた。失明後に出産をして、現在はお子さんと二人で溌剌とクイーンズ暮らしとのこと。

全員で一台の車で移動、ちょっとした手伝いになるかと私の家族も同行。東名ですいすいと静岡着。今日の場所は「フリーキー・ショー」。オリヴィエ・マヌーリと今井和雄と私での(ジャンはピナ公演で不参加)7つのピアソラツアー想い出のライブハウス。

荷物を搬入、まずは真奈さんがヒモを使って踊るスペースを確認できるようにする。慣れた作業。ここではダンスは稀なので、壁や床にちょっとした突起物があり、丁寧に取り除く。後ろの黒い壁に、妙子さんが白で円を描くと巨大な月になった。インスタレーションも彼女の得意分野。

満員の客席に、乾千恵さん家族の姿が見える。ヤーヤーヤー、再会を喜び合う。インドネシアの装いでバッチリきめている。1時間超の即興。いくつもの場面を作っていった。「オペラのような悲劇的な感覚」に囚われてしまったよ、とジャンさん。実際、真奈さんがジャンさんの目を手で覆ったシーンはとても衝撃でした。終わった後、みんなでパチリ。

翌日は午後に「つばさ静岡」という重度障害児・者施設で同じメンバーで公演。http://www4.tokai.or.jp/tsubasa/Tubasa_Webpage/Welcome.html

明るく広々とした環境。それを活かすために、カーテンを開けての演奏に。ベッドから降りることができない人はベッドのまま、車いすも、さあ最前列へどうぞ。こういう環境が初めてというジャンさん。しかし何も心配ない。彼なら大丈夫。「わかりやすい曲をやった方が良い」という申し出が有ったが、ハイハイと受け流します。

>今までの経験で言うと、「わかりやすい」は、スタッフやプロデュース側の杞憂にすぎないことが多いです。もっと根源的なもの、力強い本物を求めています。ウソや虚栄はあっという間に見抜かれます。たとえ、よく知られた曲をやって手拍子が起きたとしても、それはそれ。それだけのこと。その時その場の精一杯の自分をぶつけ、発見があってこそ、みんなの心に通じるだろうと思っているので、三人とも思いっきりやりました。反応はとても嬉しいものでした。一期一会です。おざなりなことはできません。

第1部が終わって入所者は部屋に帰り、第2部は一般の方を対象にということでしたが、何名かは残ってくれました。うれしいものです。まず、ジャン体操を全員で。普段動かしていない部分を動かすのは新たな発見が多く、自分の身体のことを本当にわかっていないなと痛感。

ジャン体操の途中から私は楽器を弾き初め、自然な流れでジャン・真奈さんが踊り出します。その流れはとても良かった。真奈さんが歌を歌い始めたり、何か「希望」という気持ちになりました。千恵さん達もまた参加してくださり、富士からは、つい先日自宅で田中泯+坂田明をやった松尾さんも自作のパンを焼いて持ってきてくださいました。その場を離れるのが惜しい感じ。

東京へ帰り、浅草で若い世代のギタリスト谷川さんが初めて主催した即興フェスで、30分今井和雄と有無を言わさぬトップギアのぶっ飛ばし演奏で一汗、翌日はコロンビアへというきつい日程。

これで、コロンビアのブログへ繋がりました。嗚呼、ホッとした!!

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