大分空港まで送っていただき、無事に楽器も載せて羽田へ。
電車移動の多いベーシストへ情報。私はエンドピンを木製に変更、いままでのホイールが使えなくなったため、dblBass Buggie(http://www.kcstrings.com/bass-buggie.html)を使っています。全体の高さが10センチ以上低くなるので大江戸線のような小さな地下鉄でも楽。立てたままでもある程度安定するので切符を買ったりするときも便利。JALの楽器ハードケースには装着したまま収納できるので、家から目的地まで付けたり取ったりするストレスが無くなります。ちょっといいかも。ネットで注文したら、初めての日本への郵送といっていたので、まだ直接取引するしかないですが、迅速な対応でした。ちなみに木製のエンドピンもここで作っています。
地下鉄を乗り継いで六本木へ。80名を超える「ぞう列車がやってきた」のリハーサルで俳優座は大わらわ。楽屋の余裕もないので楽器を担いでスタッフ部屋へ。総じて日本の劇場スタッフのレベルは高く優秀だ。現場では一番働くスタッフの部屋が一番小さく、エアコンもほとんど効かない。こういう人たちが支えていることを再確認。
スタッフ部屋ですぐリハーサル開始。グラシアス・ア・ラ・ビーダのキーを決め、与謝野晶子のやり方を話す。共演する女優・長浜奈津子さんは手足・口を縛られた状態での朗読という演出を考えてきていた。それならば、とこちらもいろいろ対策。
「~よ」というと、よくある詩の朗読風になってしまうのでグラシアス・ア・ラ・ビーダの訳を「人生よ、ありがとう」から「ありがとう命」に代える。この方がダイレクトで良い。高橋悠治さんの訳に沿った。
すぐに舞台稽古。やはり舞台監督ならびに照明、音響とも優れたスタッフで、こちらの意図をすぐにくみ取って適切に対処してくれた。なにより内容を喜んでくれているようなのがうれしい。「いま・ここ・わたし」を大事にやることで上手くいくと確信。スタッフ部屋でさまざまな差し入れをいただく。こういう「伝統」も久しぶりに体験する。
東山動物園での話を音楽化した「ぞう列車がやってきた」に続き、阿部百合子さんの朗読(向田邦子作)、その次が私たちの出番。所謂一般のお客様の中、場違いかもしれないと思ったが、私の「いつも通り」をやった。「緊張感あふれる」とか「場が換わった」とか好感触だった。長浜さん、お疲れ様でした。ありがとう。
休憩を挟んで加藤剛さん。御自身が主演した五味川純平作「人間の条件」の想い出から、大変美しい日本語で話をされた。こんなに端正で美しい日本語を耳で聴くのは久しぶりだった。
そして井上ひさしさんの講演。どんなに脱線してもしっかり戻ってくる。論理的な人だ。「戦争になったら、アメリカ・日本国・自衛隊は絶対私たちを守ってくれない」「第一次世界大戦での一般市民の死者は5パーセントだったのが、ベトナム戦争では95パーセントと反転してしまった、これが戦争の流れだ」「9条を持つ日本国憲法が南極条約や宇宙条約、いろいろな国の新しい憲法の元になっている」「国会議員など公務員は憲法を守る義務がある。変えることはできない。」「重慶でのアジアカップサッカーでの中国人の反応の話をしながら、ハーグ国際平和会議の変遷」などをわかりやすく話した。30年くらい前に雑誌「終末から」で井上さんが「吉里吉里国」の話を書いていたのをふと思い出した。一貫している人だ。
暑いこの季節。頭をしゃきっとさせていないと・・・・・