些細に見えるけれど大きなヒント

近藤真左典監督作品「ぼくのからだはこういうこと」試写会@いずるば

5年分の映像をぎゅーっと85分に編集してありました。さぞやたいへんな作業だったでしょう。近藤監督は今村昌平門下。主にドキュメンタリー作品を作り続けています。

ダウン症のダンサー矢萩竜太郎を扱ったものには「ダンスとであって」竜太郎10番勝負!DVDがあります。それは、「いずるば」で真夏に毎週6回のオープンリハーサルと4回のドイツ公演を取り扱っています。

近藤さんと私の出会いは「偶然」そのものでした。聾の庄﨑隆志さんと南雲麻衣さんとの遠野物語「牡丹と馬」の音楽を依頼されました。

聞くところ、本来いる筈だったコントラバス奏者が急に辞めた、ということ。フィリピン手話を専門にしている山下真理さんが庄崎さんと親しくしていて、私を紹介してくれました。真理さんとは、野村喜和夫さんに誘われて行ったメキシコ詩祭で出会ったばかりでした。

そして、庄崎さんと近藤監督が知り合いだったわけです。

いくつもの偶然が重なって、昨日の映画試写まで行った!という事実はとても感慨深いものがあります。

みなさん!エキストラの仕事が来たら大事にしましょう!そこには思いがけない展開が待っているのです。日常生活の中でも同じ事が言えます。何か非常なことが起こったら、大事に接して大切に育てる。当たり前と思っている生活、自分自身を客観的に見ることのできるチャンスなのです。自分の思い通りにならないことを嫌わないで、捨てないで、逆に、大切に接する、要らぬかも知れない苦労する、努力する。ここから新たな展開がある可能性!

このところご一緒している矢萩竜太郎、庄﨑隆志さんも偶然出会い、ダンスのジャン・サスポータスさんとも、邦楽の沢井一恵さんとも能楽の久田舜一郎さんとも、タンゴとの出会いも、歌作りも、絵画の大成瓢吉さん、小林裕児さんとの出会い、すべてエキストラなどの偶然から始まっているのです。

ハンディキャップとの出会いで私はたいへん多くのことを学んでいます。機会も自然に増えていって、私のことを「ハンディキャップの人と仕事をしているベーシスト」と思われていることもありました。

私が生まれて育った環境にハンディキャップの人がいませんでした。日本の実情として触れないよう、会わないような社会制度になっているとも感じます。そういう人も多いでしょう。

出会ったとき、「おたおた」しないで、「チャンス」と捉えて自分全部を投げ出してみましょう。

私はこういう風に変わっていきました。

1:前提なしでともかく一緒にやってみるという段階。

2:ハンディキャップの人と交流することで「良いことをしている」と無意識に偽善的な納得があったかもしれません。心からの交流とはまだまだ遠い。

3:どんどん引き込まれ、「あれっ、同じだ、何も変わりは無いじゃないか!」という段階、喜びと興奮。

4:ハンディキャップということを考えない方がいいのではないか、と考え始める。その感覚はとても嬉しく大きいもの。この段階で終わってしまう(考えや捉え方の展開を止めてしまう)ことはちょっとモッタイナイし、中途半端。

5;それでも、ハンディキャップの人には、「身体的にできないことがある」ことを忘れてはイケナイのだと気づく。健常者にとって何でも無いことが出来なかったり、必要以上と思えるほどこだわったりすることがある。

6:「弱さのチカラ」に気づき、弱さこそ健常者がまなぶべきことだと気づく。彼らから学ぶことがとても多いことに気づく。それは、社会を映す鏡でもある。

7:私たちはみな人類代表なのだ(38億年の生命史の最先端にいるのだ)。ハンディキャップがあっても、癌であっても、鬱でも、糖尿でも、アスリートでも、バレリーナでも、スター選手でも、聾でも、盲でも、大した差はないのだ、みな人類代表として今・此処にいるのだ〜。

8:そして私たちが等しくボンヤリ思うのは、今後私たち人類はどういう風になっていくのだろうか?どう変わっていくのだろうかと。皆一緒の船に乗った航海をしている。その過程でみんな生き死にを繰り返している。

私にとって4月4日、11日の沢井一恵、久田舜一郎さんとのワークショップは「そして日本」と名づけ、「日本」を問うことが目的でもあります。

しかし、たとえば、自閉症の人達が方言を使わない、という説、ダウン症の人の顔付きが民族を越えて似ている、ということ。それらは、イージーに「民族や血」を言うことから免れる大いなるヒントにもなるのではないかとも感じています。

いろいろなことにますます興味が膨らんでいきます。なんとか時間をくださいませ!

https://www.facebook.com/events/2053751744714405/

竜太郎さんと京都へ行きます。今の私にとっては冒険であり挑戦です。当たり前の新幹線移動もいまや当たり前では無い。その想像力を他の全ての事象に当てはめることがしやすいという能力をいただいている。転んでもただでは起きないで、なにか拾っちゃいます。もちろんパスしますよ〜。

庄崎隆志さん、松本泰子さんとのライブ(with詩人達)DVD「Sluggish Waltz スロッギーのワルツ」は4月下旬に完成予定!