北海道とパリからの
IOR(いずるばオープンリハーサル)第3回目。
ハンチントン病・パーキンソン病をダンスという視点で研究しているフィリップ・シェエールさん・國本文平さんをゲストにお招きしました。パリ在住のお二人です。フランスでは医療行為に該当するとのこと。フィリップさんのご家族にハンチントン病の方がいらっしゃったことがきっかけだったそうです。
第一部で、彼らのワークショップを30分やっていただきました。鏡になる、ティッシュペーパーを使っての創作、そして竜太郎さん・私と文平さん・フィリップさんの即興。鏡になる、では、自閉症の「バイバイ」の仕草を思い出しました。こちらが手のひらを向けてひらひらさせると、かれらは自分の方に手のひらを向けてひらひらするのです。
また、竜太郎さんは普段、ダンスの振付や体操で対面すると左右を逆になってしまうことが多いのですが、鏡では間違えませんでした。これだけでも多くの気づきがありました。
第二部冒頭に、ハンチントン病(舞踏病)など彼らの話を伺いました。ダンサーだった方がハンチントン病になった例では、実際に踊る時、ハンチントン病の不随意の動きはピタリと止まるそうです。
かつてジャン・サスポータスが話してくれたのは、吃音症(どもりなど)の役者さんが舞台に立つとピタリと吃音が止まるというのと似ていると思いました。
野口整体の「活元」運動、ミラーニューロンとの関係、など聞きたいことがたくさんありましたが時間が足りません。
名寄の「あべクリニック」の医師阿部恵一郎さん、当麻の「かたるべプラス」で美術担当の菊池雅子さんが長年の現場の経験に基づく解説・現状・問題点を指摘してくださり、たいへん有り難かったです。
奇しくもパリと北海道からの福音でした。
第三部は自由参加のセッション。人数が多くそれをまとめ上げるパワーが今の私にはなく、カオティックにもなりましたが、それもそれでしっかりと次に繋げたいと思います。ここ「いずるば」では、自己表現→発散・自己解放よりは、自己表現の放棄→全体の解放へ、のベクトルを大事にしていきたいと思いました。
翌日、菊池雅子さんと竜太郎さん私でのインタビュー収録。やはり雅子さんの膨大な知見から鼎談のなかで多くの発見がありました。この収録は竜太郎さんのDVD第2作のためのものです。今作は、竜太郎さんのダンスはすばらしい、私たちの忘れてしまったことを思い起こしてくれるという従来型の視点から、私たちには彼が必要なのだ、息詰まった現代に風穴を開ける知恵にあふれているという視点に転換する、ということを目的として進行中です。
が、会話の中から、その目的もまた、私たちの企みの不遜が隠れているのではないか?という疑問を投げつけられました。
先は長い〜〜〜。