弦を叩く
弦は、擦る(さする)・弾く(はじく)と共に叩くものでもあります。
私はコントラバスを始めた時から、弦を叩く音がイメージで鳴っていたので、ピッチカート、弓弾きとともに弦をスティックで叩く奏法を同時に始めていました。とても自然なことでした。
叩くもんじゃないよ、乱暴だよ、と随分と批判されたものです。多くの人が楽器自体を叩いていると思ってしまいますが、叩いているのは弦だけです。楽器は人一倍大事にしています。
いろいろと経験をしたり、調べたりすると、弦を叩く(特に太い・長い弦)のはいろいろなところで存在することを知りました。
ヨーロッパに行き始めた頃、フランスで、ロマの楽団でガルドンを見たときは本当に嬉しかった!です。そうだそうだ、これだこれだと「我が意を得たり」と興奮しました。後にトニー・ガトリフの映画でもフィーチャーされていて嬉しい限りでした。
日本では、いたこが魂を呼ぶときに使う「梓弓(あずさゆみ)」も叩きます。弦が振れて、琴線が震えるのです。弓神楽の伝統も各地に残っています。この小沢昭一さんの映像はとても刺激的でした。
韓国のコムンゴもスティック状のもので叩いたり弾いたりします。これも低音!
コントラバスで弦を叩く人もきっといるはずと思っていたら、いましたいました。アーノルド・ドライブラットさんです。彼は叩くだけ!です。倍音をよく出すためにピアノ線を張って、ともかく倍音を意識して叩く演奏・作曲をしています。その彼が12月初来日の情報がでています。
思えば、ワークショップで使っている一弦琴の発想は、これらの経験から出てきたものなのですね。