ラストライブとゴーヤ

 

ゴーヤの初収穫でした。
植物は、そして虫も、太陽も、月も、土も、星も、蝶もなにもかも(ニンゲン以外)裏切ることなく、淡々と毎年毎年営みを続けています。

収穫して、すぐさま食します。これ以上のことはありません。

副作用で指先は痺れたまま、キーボード入力もミスタッチばかりで三倍の時間がかかります。「天行健なり」とは異次元の科学・医療の発達の結果による薬のための副作用です。ニンゲンの歴史の一つです。

そんな私の治療生活も大きな山場を迎えました。来週手術です。

その手術の前に最後のライブがあります。マクイーン・時田深山さんとのデュオ。実は昨年の11月に予定されていましたが、私の入院・手術でキャンセル。その補塡としてのライブの意味もあります。同じく樋口さんのプロデュースです。

浮腫みでふらつく脚、痺れて感覚の無い指での演奏ですが、先日、喜多直毅さんとのデュオでなんとか出来たので、これは良いとしましょう。私の症状は抗キャン剤の副作用による物と判っているので、2〜3ヶ月、長くて2〜3年で無くなるはずです。もっともっと苛酷な症状を長期間・あるいは一生もちつづける方々に比べれば、楽なものでしょう。

デュオのお相手は深山さんです。オーストラリア人の母親(日本伝統音楽の研究者)と日本人の父親。22歳までオーストラリアにいたとは思えないほど完璧な日本語を使います。それは、並外れた音感・聴覚、非常に明晰な頭脳の証左でしょう。その類い希な才能、恵まれた身体、明るく皆に愛される性格。

長年、箏・十七絃と付き合いのある私が感じるところ、彼女の演奏の特徴は、呼吸法です。日本伝統の呼吸法と違うのです。

箏・十七絃を日本伝統楽器から解き放ち、世界の楽器の一つとして扱っているのです。丹田に気を集中し、息を詰めて、身体性を外に出さず、呼吸も隠す日本伝統の奏法と逆に、ゆったり呼吸をして身体性も隠さない奏法です。
箏・十七絃を日本の枠から解き放ち、世界楽器の一つとすることは、師匠の沢井一恵さんの願いでもあります。その願いを叶える方向に進むことでしょう。彼女が持ってきた候補曲が、アフリカのゆったりした曲でした。そんなところにも現れていますね。

日本伝統の奏法・思想にも、世界楽器としての箏・十七絃の可能性にも、それぞれ長所・短所があります。いっそのこと、それらを両方とも、獲得し、意識して使い分けることができれば素晴らしい。その可能性を持つ深山さん。期待しましょう。

そんな可能性を持つ若者(私の娘より若い)と、手術前最後のライブを行うのは何か意味を感じてしまいます。(私の最後のライブにはしないよ〜だ!)

なお、ポレポレ坐でのミッシェル・ドネダ、レ・クアン・ニンライブ(7月10日)にも、深山さん出演します。さらに大きな自由な世界へのホップ、ステップ・ジャンプ!

2017年7月2日(日)
江古田音楽化計画 vol. 8
齋藤徹・マクイーン時田深山 duo
17:30 OPEN
18:00 START
OTTO2
東京都練馬区栄町6-13
西武池袋線「江古田」より徒歩3分
¥4,000(1ドリンク付)
齋藤徹(コントラバス)
マクイーン時田深山(十七絃)