はじまりは美香さんだったのか・・・

始まりは美香さんだったのか・・・

最終リハ日、順調に進んでいます。休憩中にミラーニューロンについて皆藤千香子さんと話をしました。彼女はデュッセルドルフに居を構え、今は主に振付家として活躍中です。(「私の城」では、ダンサーとして参加しています。)来月には喜多直毅さんが参加しての新作上演とのこと。

そもそもなにがきっかけでミラーニューロンに興味を持たれたのですか?との質問に「それは、黒沢美香さんでしたね。」と答えていました。駒場アゴラで美香さんとのデュオの時、美香さんが簡単な振付をしてくれました。脚を前後に少し開きゆさゆさと揺れるというもの。そのお手本を見せてもらっている時に、もの凄く強いミラーニューロンを感じました。

果たしてこれは何?と感じました。その当時、田中泯さんと演奏することが続けてあって、同じような動きに同じような強さのミラーニューロンを感じました。

それがミラーニューロンと呼ばれるらしいと知り、すこしずつ調べたのです。そして他のジャンルとのコラボレーションでは特に必要なものとして、ミラーニューロンと半眼微笑を意識せよと、若い人に伝えるようにしています。

薄目を開けて、美香さん・泯さんの動きを観ていると確かに自分の身体の中の同じ部分の神経が真似をして激しく反応していたのです。それは意思を越え、意味を越え、共鳴・共振として感じることが出来るものでした。

返す返すも残念なことに美香さんは私と同じ病で亡くなってしまいました。私が告知を受けてから是非お目に掛かりたいと思っていた矢先のことでした。ですからミラーニューロンは美香さんの遺言と勝手に思うことにしました。

「私が定期的に病院へ行くと、医者達が『美香さんの存在は私たちを勇気づけてくれます』と言うのですのよ!」と笑みを浮かべながらおっしゃっていました。それが今現在の私には凄いこととして実感されます。

「今日は徹さんはどの楽器を演奏されます?」と不意に訊かれました。何の楽器を演奏する、と言ったってコントラバスしかないです、と答えた後に、そうか、この人はすべてゼロから発想・即興するのだとその強さと自信を感じたものでした。そういえば、今日は私は「◎◎◎◎」です。と郵便局員とか何かになりきってから楽屋に入ってきたこともありました。

その強靱な即興精神は、長年のダンス人生が支えていることは事実でしょうが、病も大きな役割を果たしているのでは?と今の私は思うわけです。

思い出すと共演の数はとても少なかった・・・残念です。
岩下徹さん・美香さん・私で京都公演
美香さん・私でポレポレ坐 徹の部屋および駒場アゴラ劇場でのデュオ
美香さん・ミッシェル・ドネダ、レ・クアン・ニン、小林裕児・成河 @スーパーデラックス
相川さん追悼シアターχで大勢と