フランスツアー(4)
身体とココロのどこかが興奮していて、疲れているはずなのに短時間で起きてしまいました。本日はパリに戻り直毅さんとの教会デュオコンサートなのではりきって行かねばなりませぬ。パリへのTGVも直行なので座席で休みながらパリに戻ることができました。メトロへの乗り継ぎも聖メリー教会への徒歩も無難に。極上好天の日曜でパリは大騒ぎ。セーヌ川沿いの陽が当たる方はずっ〜と人人人。大道芸人やら観光客らでごった返し。やはり太陽が恋しかったのでしょう。Tシャツの人も多く、みんな顔がほころんでいます。でも石造りのためでしょうか、日向と日影の温度差が我々の想像以上です。実際、このところ演奏前に手がかじかんで指に血が回らないかんじでオイルヒーターに手を着けたり、自分の顔で暖めたりでした。ダウンジャンパーは1日も手放せません。手袋も持って来るべきでした。
ブロンディ一家と散歩。ポンヌフ、ルーブルなどを観光気分で歩きました。普段わたしは観光しませんので貴重な体験でした。イノサン通りとか、バール通りとかあって笑っちゃいました。教会に帰ると直毅さんはすでに試し弾きした後。お元気そうでなにより、良い出会いとライブがあったのでしょう。
ドアが開くまで私も弾いてみました。今までで経験の無い音響です。深くじっくりと響き、しかも大げさで無く素直。この環境では「自己主張」とか「自己表現」とかは決してできないことを実感。自らの身体を通して音が出ていくという感覚を強く持ちました。自分が問われ、日常が問われ、過去と未来が今と繋がる可能性を見いだします。
聴衆の中には20年前に私がやっていた劇団「太虛」(TAO)のプロデューサーKKさん、舞台美術のBさんご夫婦が見えたのは本当に嬉しいことでした。また最近パリに来た日本のダンサーBKさんご夫婦も、その友人の日本人ダンサーも。みんなパリで日々を過ごしているわけです。
プリペアードピアノのソロの後、我々デュオの演奏が始まるや直毅さんが突っ走ります。私にはとてもついて行けない勢いでした。天才のナセル技です。所々ついて行けないのですが、それがまた大変うれしいことです。公園通りクラシックスでロジャー・ターナーさんと直毅さんと私のセッションの時、感じたあの感じです。彼はまたGiant Stepsを昇ったのです。スバラシイ。40分疾走しました。この環境・音響での即興は格別です。そして直毅さんの深化・進化も嬉しい限りです。いままで続けてきて本当に良かった、身体が可能な限り続けねばとの素直な思いでした。象徴するように終演後2回拍手で呼び戻されました。
近くのフランス料理店へ打ち上げに。直毅さんの友人達、クラシック系の演奏家、みんな居ます。このあたりを知り尽くしているブロンディの選択に間違いは有り得ません。モツ系のスープやソーセージなどもある良い感じの店でした。私は鴨を頂いちゃいました。この料理の感じもドイツとは対照的です。