韓国ツアー その1
昨夜、氷点下のソウルより戻りました。昨年夏からの多忙な日々がや~~っと一区切りです。一つの音楽で多忙ならまだ良いのですが、いろいろな種類の音楽(インプロ・フラメンコ・歌・ショーロ・クラシック・ジャズ・詩)・国内海外ツアー・イヴェント・演劇・WS・講義・リサーチがあったので蠍座A型の私にはかなりキツかったです。体力・精神力のなけなしの貯金を使い果たしてしまっています。はやく充電せねば。
5時起きで羽田へ、フライト用ベースMIYABIの本格始動でした。
前々日まで日本ツアー中のロシアのVladimir Kudryavtsevさんにお貸ししていました。27日キッドでの泰一さんとの公開録音の後、明大前駅で、やはりLIVE帰りのウラジミルさんから返してもらいました。
彼の使用しているスピロコアからG/D弦をオリーブ、A/E弦をダミアンに張り替えて、そして、ネックを外して収納。私はブッパタールでのレクチャーとFTARRIでのLIVE、公には2回しか演奏していませんが、ウラジミルさんは10回くらい演奏しているので、彼の音になっています。弦を張り替えることで多少ニュートラルになります。(小さめで軽めのベースだとプレインガット弦よりはオリーブのような金属巻きガット弦のほうが合っているように今は思っています。)
かつて若くして不慮の交通事故死をしたマシュー・スペリーさん(トム・ウエイツ、アンソニー・ブラックストンらのグループに抜擢されていました)の楽器をカリフォルニアでお借りしました。(彼が私のCDを愛聴していたと言う縁でした)楽器が主人(自分の音を出してくれる相棒)の死を全く知らずに、主人の音を出しているので本当に啞然かつ辟易としたことがあります。この時も弦を替えることで多少救われました。
あっと言う間にソウル。時差はありません。寒いです。先週は氷点下20度で洗濯機が氷り、バナナが黒く氷ったそうですが、今日はそれほどでもないことがラッキーでした。お迎えの車に乗り金浦空港からソウル中心部へ。漢江が凍っています!宿舎で荷を降ろし、韓国料理店で許胤晶さん(今回のオーガナイザー・コムンゴの名手)と再会。カルビタンと本格キムチを味わいました。
コムンゴ界では今や押しも押されもしない代表格の彼女が、お父上(2000年に亡くなった高名な劇作家)の作った劇場を引き継いでいてその劇場で”インプロ祭”をしている!のです。そこで極東弦楽四重奏団(私が仮に付けた名前がパンフレットでは正式に採用されていました。)の初演をするというのが今回のツアーの目的です。日本に置き換えると、高名な邦楽奏者が自身の願いで、自らの人間関係、音楽関係、経済関係を総動員してインプロ祭を4日間催す、というのはなかなか想像出来ませんね。スゴいことです。今回はイギリス・オランダ・日本からミュージシャンを呼び、自国のミュージシャン・ダンサーとともに4日間繰り広げたのです。https://www.facebook.com/bcchangwoo3809
本日はワークショップ。即興に関しての実演と質疑応答でした。
許胤晶さんたちが理解している「即興」と私の理解している「即興」は大分違いますが、丁寧に説明していく必要があり、お互いの理解を交換して、お互いの良いところを分かち合い、より豊かなものにすることが何より大事です。「違い」は決して悪条件ではなく、好条件なのです。
今回は日本語→韓国語の通訳がいないので、私と直毅さんは英語で発言・応答、それを許胤晶さんが通訳というカタチでした。ヘーグムの姜垠一さんも参加してくれ、実のある即興講座ができました。思えば、こういう場がニッポンにはありませんね。「こういう音楽を味わい方のヒントをください」とか「どういう気持ちでやっているのか?」とか純粋な質問がたくさん出ました。嬉しいです。直毅さんもクイーンズイングリッシュで誠実に堂々とスピーチしていてたいへん立派でした。
私の即興に関する考えを本かパンフレット(英語版)をそろそろ作った方が良いな、と改めて思いました。即興に関しては、もっともっと音でも文字でも会話でも意見交換をした方が良いのです。ヨーロッパでのワークショップ、レクチャーも好評でしたし、韓国でもアジアでも急ぎの仕事かもしれません。