自閉症プロジェクト本格始動しています。
Autismus Wuppertal(ブッパタール自閉症施設)の40周年を記念してジャン・サスポータスにダンス公演の依頼が来たのが始まりです。ジャンはここで週一回ダンスワークショップをしています。今年の私との北海道ツアー中、当麻町かたるべプラスでのワークショップがありました。かたるべプラスはいろいろな症状の方がいらっしゃいますが、ここでは自閉症の方が45名暮らしています。
第1日目ミーティングで集まったのは、元ピナ・バウシュカンパニーのクリステルさん、皆藤千香子さん、(お二人は前回のジャンのブッパタール公演「LOOKING FOR KENJI」にも私と喜多直毅さんと参加しています。)ヴォルフガング・ズーフナーさんとジャンと私、そして施設からは担当のステファニーさん。私のために英語を使ってくれています。お手数をかけます。
とりあえず、東田直樹さんの本を紹介したり、私が滞在中の日程の調整をしたり、公演場所の相談をします。公演本番は来年5月です。
早急に決めねばならないのが公演場所です。候補に挙がったのがRIEDEL、先日、ジャンが振付をして大成功をした「ロミオとジュリエット」をやった場所です。
連絡をすると、今なら見学できる、というので一同で向かいました。ロミオとジュリエットの舞台美術を担当したブッパタールの名士 トニー・クレイグの美術がまだそのまま残っています。とても良い感じの候補ですが、なんと、寒さ対策がネックになるというのです。5月中旬でも寒い!とのこと。さすがは稚内より北の街です。暖房を設えて、照明を組み立てると膨大な予算が必要ということで難問山積。
ピナの映画などで有名な彫刻美術庭園(これもトニー・クレイグの美術公園です)内のガラスで覆われたたてものはどうだろう?など代案も練っているところです。
打ち合わせが終わり、帰宅。一休みして、ジャンの「気の道」クラスへ参加しました。ずいぶんと上級者が増えています。(袴の人が3名います)。相変わらずダメな私ですが、腕と肩と腰を螺旋状にする仕草の時に右アゴと肩甲骨が反応するという発見がありました。8年間、突発性難聴が続く右耳の治療を探り続けていて、ジョギングをしながら、肩甲骨あたりに何かを「追い込む」ことができたのですが、それに続くエクササイズのヒントになりそうです。顎関節のあたりに聴覚神経に関する細い血管があり、それが損傷しているのでは、というのが私の見立てです。まあ、あまり期待せずに探り続けましょう。
頭も身体も疲れましたが自閉症について考えると、なかなか寝付けず、東田直樹さんの本から考える柱となるべき言葉をノートに取って過ごしました。
2日目のミーティングも施設で午後1時から行いました。ヴォルフガングさんはパン劇場リハで欠席。
具体的に自閉症についての個人経験などを元に話が進み、45人の住む施設内部見学をしました。いくつかの個人部屋を見せてもらったり、絵画教室、木工教室も見学。
紅葉の盛りで日当たりも良くきれいに整頓されているので、すばらしいな〜と思いますが、そればかりであるはずはないのです。
長年ここで働いていて自身が鬱病になってしまった人が話をしに来てくれたり(この人はとてもすばらしい人でした。)パニックになった人にはナイフを持たせないようにすることとか、自分を動物のように思っていて部屋にあるものをすべて窓から捨ててしまう人の話、ベッドも捨ててしまうので、天井からベッドを固定してあったり・・・
会議室に戻り、ステファニーさんが自閉症の症状をいろいろと説明して下さいました。ほとんどが東田直樹さんの本に書いてあったことと符合します。
すなわちユニバーサルな症状なのですね。国民性や民族性を越えて共通するわけです。私は、竜太郎さん(ダウン症)との比較でさまざまなヒントを得ました。まだまだこれからです。真摯に関わらなければならないと肝に銘じました。