ブッパタールでの自閉症プロジェクト

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今回の渡欧の目的の1つはブッパタールでの自閉症プロジェクトへの参加です。ジャン・サスポータスさんが誘ってくれました。ジャンさんとの活動には、はなぜかハンディキャップの方々との繋がりが多くあります。ダウン症・聴覚視覚・自閉などなどです。音楽とダンスで何か役に立つことができれば本当に嬉しいことですし、音楽やダンスの本来の役割・仕事なのかもしれないと思うようになってきています。東川のかたるべプラスでのワークショップでジャンと私は心身ともフル回転して歌い・踊り・ハグをし、ありがとう、と叫びました。

テレビを観なくなって久しいです。何の不自由も無いし、止めて本当によかったと思うことばかりですが、こういう番組を見逃しています。「君が僕の息子について教えてくれたこと」。この東田直毅さんのドキュメンタリーTV映像をDVDで観ました。(YouTubeにあるようです)これにやられました。

東田さんはパソコンキーボードで自分の気持ちを打つことができます。(淀みなく、推敲も無く、流れるがごとく入力していきます。)また、キーボードを模した紙でタイプをする仕草をすれば声に出して気持ちを伝えることさえできます。

自閉の人々が思っている気持ちを伝えるといういままでになかった大変貴重な情報を教えてくれます。24ヶ国語に翻訳されて世界中の本当に多くの親御さんにとって福音だった言います。早速ジャンにも教え、彼はフランス語訳を買いました。東田さんには「自閉症の僕が飛び跳ねる理由」をはじめ多くの著書があり、今はビッグイッシューに連載もされているという話も聞きました。これらをとっかかりにして日欧共同作業ができることを幸せに思います。

私の音楽観・表現観・即興観の根本にあることの1つに、「勉強して身につけた技術を発表する『自己表現』ではなく、自分の知らない自分に出会うような『自己実現』を目指す」と言うことがあります。

東田さんのコトバはそこに新たな光を投げかけてくれます。自己実現なんて、自己表現なんて言っていられない。ともかく自分の言いたいことが言えないもどかしさがあり、方法がない絶望感なのです。

そこには「表現」という行為に根本的な疑問を投げかけてくれます。言いたいことが言えないという狂おしいまでの気持ちのために飛びはね靴をすぐ履きつぶしてしまう。そんな必死の表現を『プロ』の私は忘れてしまっています。桜のうつくしさを見続けて入られない、そんなナイーブな感性を『ベテラン』の私はどこかに置いてきてしまい、鈍感に貪っています。

楽器があり、演奏する機会があり、演奏できる身体を持ち、聴衆もきてくださいます。何らかの表現行為を「できる」ことを「幸せ」と思い、いや、やりたくてもできない人を思えば「義務」とさえ思わねばならないのかもしれません。

東川のかたるべプラスからも参考図書・映像を教えていただきました。ありがとうございました。

では、1ヶ月後帰ってきます。

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