お経届かないジャズの騒音(山頭火)

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お経届かないジャズの騒音(山頭火)

ヒトが出す音と言えば「声」が代表でしょう。一番大きな音(声)は叫び(濁音を伴う)でしょう。
その極端は「殺すな!」「やめろ!」。

その声を聞こえなくしてしまうのは「それ以上大きな音」。大きな音によって声が届かなくなる。「殺すな」という会話が成り立たなくなる・論理が・合理が・意味が成り立たなくなる。

そこは、理屈が通じない混沌とした何でもありの世界であると同時に、あるいは、そのために「聖」なる意味が付帯することにもなります。

お祭りの大騒ぎもそうでしょう。本来の「祭り」は「待つ」りで、夜じっと神の「音」づれをまっているものでしたが、だんだんと大騒ぎになっていきました。それは年に一度の「ガス抜き」でもあったでしょう。ヨーロッパではストレスの甚大な若い神父たちが街中を練り歩き「汚い」ことばを叫び、糞尿を撒き散らす祭りさえ有ったそうです。

被差別の人達、咎人がその日だけ差別を免れ発散する、そういう社会的な営為でもあったのでしょう。

年に一度のお祭りに全精力を傾ける祭りには「小金を持つとヒトはろくでもないことばかりする、それを避けるためにも年に一度全部使い果たしてしまえ!」という「知恵」も見え隠れします。

ジャズもそう言う要素を持っているのだと思います。葬式の時にも楽しく送って、やっと天国にいけるお祝いという側面もあるといくつものジャズ本に書いてあります。

サックスの咆哮、ドラムスの乱打、ピアノのひじうちは、日頃の処理できないモヤモヤ解消に大いに役立ちましょう。ロックやノイズ音楽もその要素を特化させて成長してきたのです。澄んだ音では無く、歪んだ音、フィードバックでハウリングした音が大事です。

基本的に、話し声より大きな音でないとイケマセン。

ジャズバンドの演奏でベースソロになると聴衆の「おしゃべりがはじまる」というベーシストとしてはなんとも寂しくなるジョークがあります。しかしそれも事実。話し声よりも大きい他の楽器のソロの時は会話が成り立たないので黙って聞いている(しゃべりたい気持ちを抑えて)。さあ、ベースソロになると急に静かになります。ここぞ、とばかりにおしゃべりをはじめてしまう恋人たちの気持ちは分かりますね。

さて「かみむら泰一」さんです。

サックスというジャズに最適で、王様のような楽器を選び、かつてはとても「ジャズ的」な演奏で大評判だったとも聞いています。音色も技術も読譜も志も人間関係もしっかりしています。そういう能力をもっているのですから、大いに咆哮し、聴衆の気持ちを代弁することは簡単でしょうし、人気もお金もたくさん回ってくるでしょうし、ちやほやされ、世の中の役に立っている誇りも得ることができるでしょう。

それを、なぜか、そういう演奏でない方向を目下、目指しているようなのです。そもそも私に接近してきた、というだけでも変ですよね。

ポレポレ坐徹の部屋vol.38に登場していただき、デュオでショーロと私のオリジナルを演奏しました。

私の楽器の音を十全に聴くこと、自分の楽器の音の響きを感じることに一番注意を払ってポジショニングをしたり、椅子に座ったり、立ったりしながら、音の出し方などを妥協無く調整しています。

ブヒ〜、ブハ〜っとデカい音で1音聴かせれば「イエーイ!」と声がかかるのに、プス〜っとかいっています。聴衆に極端な集中を強制するのですから、気楽に聴けませんよ、全く。(ベーシストはいつもそうなので。ちなみに、最近のマイブーム1961、62年のジミー・ジュフリートリオのジミーさんは50年前にそんな音をだしています!)

第1部ショーロ、第2部オリジナルという構成にしました。

ジャンルにこだわらないポレポレ坐の聴衆にとってはショーロよりオリジナルの方が染みわたって行くようでした。それも貴重なレッスンでした。ショーロでは代わりの演奏者はブラジルにも日本にもいるでしょうが、オリジナル作品は、今・ここ・私たちでしかあり得ない訳ですから、そこがつたわるのでしょうか。

かつてベーストリオでピアソラとオリジナルを同じように演奏した時も、やはり、オリジナルのほうが評判良かったことを思い出しました。

どっちが良い・正しいという話ではなく、何を何処で何時誰がなぜどのように演奏するか、という基本的課題です。

泰一・徹のデュオは、ジャン・サスポータスさんとの2回のセッション、中谷達也さん・橋本学さんとのセッション、竜太郎10番勝負!での多種多彩な表現者とのセッションを経てきました。そして、私のワークショップにも参加してくれているという共通経験(教えることと教わることは本当に同意です。今回のワークショップでつくづく感じました。)ひとつひとつを肥やしにして先へ繋げていきましょう。

咆哮は、いや、方向は間違っていないと確信します。

9月は2回あります。

9.14mon.20.:00-@稲毛Candy
Chris Wesendanger(p) かみむら泰一(ts&ss)齋藤徹(bass)
千葉県稲毛区稲毛東3−10−12
¥3500(1DRINK)
043-246-7726

クリスさんとは、京都で ローレン・ニュートンさんとトリオをやったことがあります。この時はローレンの意向もあり、全編インプロでした。キャンディでは曲もやる方向のようです。リーダーはかみむらさん。

9.25fri.20:00-@四谷、喫茶茶会記
かみむら泰一&齋藤徹Duo
ゲスト 矢萩竜太郎Dance
ショーロ&ジャズ&即興演奏
東京都新宿区大京町2-4 1F
MC2500+order
03-3351-7904

竜太郎さん登場です。泰一さんは竜太郎さんのことを「とっても好き」ということで実現にいたりました。うれしいじゃありませんか・・・ね、弟分!

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