「いずるば」ワークショップ第3回

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「いずるば」真夏のワークショップ第3回目

出発1時間半前にデータが飛んでしまうという事態にもめげず、落ち着いて現場へ向かいました。今回の内容は個人的には大きな試練でしたので、コンピューターストレスも「どうってことない」わけです。

まずは復習を兼ねたエクササイズを丁寧に。今回だけ参加の方もいらっしゃいます。リピーターの方が手本を示すように進みます。12という数字の謎、呼吸、ミラーニューロン、「集中と拡散」をいろいろと応用・発展させる(意味、焦点、輪郭、倍音、所有、、、、)

「Sukiyaki & Chips」という冗談のような米国製のDVDにある海童道のインタビューを和訳して映像とともに流します。(日本語が英語吹き替えになっているのを和訳するという過程)。この話の元になっている海童道・武満徹・ジョンケージの鼎談が今、手に入りにくいというので本からコピー。やはり本人の映像と一緒だと伝わりやすいです。(誰が、どのように言っているのかで、内容以上に伝わるのです。)

前回、沢井一恵さんの「4分33秒」の演奏、箏で一番良い音は風が通った音(駱駝の涙)、一恵さんの演奏が作曲家にいかに刺激を与えているかの話。(作曲家が譜面にするときに落っこちてしまうものを拾い上げるがごとく演奏するのです。)無言唄。ブライアン・ファーニフォー。ピナ・バウシュと荘子の音楽論・天籟の類似。

などなど話していると、WS全体のテーマの一つが(とりもなおさず、私のテーマ)「西洋に見本や手本を求めずとも日本やアジアに多くの示唆・知恵がある」ということになっているのを発見します。白川静・野口三千三・三木成夫・世阿弥・荘子・・・・

さて、いよいよ懸案のテーマへ進みます。8月という原爆・敗戦の月であること、現在の日本の政治状況からの影響もあるでしょう。

「死の国の音楽家」で知られるアウシュビッツの囚人オーケストラの話から始めます。ドキュメント映像も流します。実際に私がマグダレーナ・アバカノヴィッチさんとアスベスト館のコラボレーションで訪れたポーランド、アウシュビッツ、ビルケナウ収容所の入り口に「労働はあなたを自由にする」という門、これは「原子力、明るい未来のエネルギー」門を想起させます。

パスカル・キニャールの「音楽への憎しみ」、アスリートが試合の前に音楽を聴いているのは「音楽が思考を停止させる」のに大いに役立つからでしょう。メシアン「時の終わりのカルテット」カール・アマデウス・ハルトマン作品。

タデウシュ・カントールの「死の教室」(アンジェイ・ワイダ監督)の断片も鑑賞。カントール生涯最後から2番目の公演が渋谷でした。私の関わっていた劇団の協力(舞台監督・字幕・世話)していたのでいそいそと出かけ、生涯で最大級の衝撃を受けた舞台でした。クラカウでは彼のスタジオも訪問しました。

オブジェの等級が低いほど良いというカントールから、やはり素材にこだわったデュビュッフェへ。

アール・ブリュの話にひろげ、デュビュッフェの即興演奏をいくつか聴き、そしてデュビュッフェが何かと世話をしたアントナン・アルトーの映像・朗読を聞いてもらいました。常識的な市民が安全な方法で作り出すものだけでは、人間の無限の想像力は発揮できません。時には狂気、時には非常識、不道徳、制御不可能なものに身を委ねる、実際に行わなくてもいかに「想像力」を発揮するか?

アルトーの朗読(ラジオ放送用録音)を手に入れた土方巽さんがそれを元に田中泯さんに振り付けしたというエピソード、土方さんの天才を遺憾なく発揮した朗読「慈悲心鳥がバサバサと骨の羽を拡げてくる」の録音も聞いてもらい、アルトーとの近似を感じてもらいます。(宮本常一さんの「土佐源氏」、小沢昭一さんの「唐来参和」とともに驚異の一人語りです。)

アドルフ・ヴォルフリの絵画とそれをソロバイオリンに移した録音も聴きました。フルトベングラーとベルリンフィルの話などなどとともに音楽の役割とどうしようもない暴力に対して自分はどうするのか?音楽は役に立つのか?自分はどうするのか?

音楽に関わる巨大な問題をどうやって話そうかと考えた時に、ポーランドからの流れが私にとって自然でした。しかし、ともかく、話し始める勇気も必要だし、話すだけでもヘトヘトになる話題です。ジャンルの違うみなさんもそれぞれの分野に翻訳してもらって共有したいと願っています。

何とか話し終わり、言うに言われぬ達成感と安堵感がありました。

残り30分、実践です。楽器はベース、サックス、バンドネオン、笙、声、今回はダンサー、ボイスパフォーマーなどいらっしゃったので幾重にも展開しました。お互いしっかり聴き合っているので、終わらなくなるキケンもなく、情念のぶちまけだけもなく、ごく自然に行きました。「自己表現」と「自己実現」の違いなどをちょっと話しました。カントールもデュビュッフェもアルトーもよくしっていらっしゃる参加者もいて頼もしい限りです。

ひとりずつの感想もそれぞれ関係し合って行きます。またまた30分近く延長。

今回の試練を曲がりなりにも乗り越えたことはとても嬉しいことでした。コンピュータートラブルなど取るに足りません。(1日経って気がつきましたがTime Machineで一昨日のデータは復元できるのです。ハイ。スミマセン。お騒がせしました私さん。)私たちはかならず「死」にますが、それ以上に確かなことは「今、生きていること」という大杉栄で私自身も締めくくりました。

さてあと一回、どうしましょうか・・・。今回を終えた分、気分は楽です。ポジティブに行きたい(生きたい・活きたい)。

真夏の徹ワークショップ@いずるば ラスト!
日時 30日 14:00~17:00
場所 いずるば http://izuruba.jp  〒145-0072東京都大田区田園調布本町38-8 東急多摩川線 沼部駅下車 徒歩5分
講師:齋藤徹
受講料:1回¥3.000
一般、プロ・アマの表現者 すべてを対象として、8月の日曜の午後に「いずるば」でワークショップをします。音を意識した生活、音を取り戻し、より豊かな生活ためになれば!と願っています。

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