mesaとロジャー・ターナーセッション

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弱いことが大切なんだ、ヤツらは信じるための器官が退化しているんだ、感情さえ計算ずくだ、弱いことが大事なんだ、とタルコフスキーが永遠の囚人(ストーカー)に言わせています。映画「ストーカー」。

ロジャー・ターナーさんは、この主人公に少し似ていらっしゃいましたので思い出したのかもしれませんが、帰り道にはこのことばかり思い浮かべていました。ほんの少しの休憩中に現在のギリシャの事情(日本にはあまり伝わってきていませんが、大事なことが起こっています。)、福島とその後、などを話すことができました。

この2日間のライブは「弱い」ことを考えていました。強き勝者の祝い宴ではなく、弱きものたちの手を繋いだ祈りの集い。効果的に、劇的に、分かりやすく上昇するベクトルではなく、内へ向かいつつ、大丈夫だろうかと不安になりつつも、きっと大丈夫なのだ、ダメでも良いのだと相手を信じ、落ちきった先で一気に開放・解放するという逆転的な幸せ。

強いものの影に隠れてひっそりと存在する弱きものたちは権利を主張しません。しかし歌い続けています。そこにこそ耳を傾けよう。今、ますますこういう考えが必要な時代になっている気がします。

生のままのコントラバス・バイオリンは今どきのライブ現場では「弱き」楽器ですが、三人のケミストリーが大変うまく行きました。特に現在乗っている直毅さんは才気溢れる演奏を自在に繰り広げました。嬉しかったです。

ブラジル音楽のMesaでは、弱音部分での聴き合いが随所に現れ、時に消え入りそうにさえなりました。そんな時はドキドキしながら演奏しつづけました。これは前々日のオペリータ再演の影響が強く出ている気がします。

そしてロジャー・ターナーさんとセッションも本来は強い楽器であるドラムスが弱き者達の集いに参加して十分に聴き合い疎通したという印象が残りました。そこには相互の発見があったのです。多くの「あたりまえ」が「そんなことはなかったぜ」という歓びでもありました。

直毅さん、じゅんこさんと様々な音楽で共演を重ねていると(そんなメンバーに恵まれていることを感謝せねばなりませんね)、一つの音楽を追究しているよりも多層的に見ること・聴くことができます。

ロジャーさんとは明日17日、矢萩竜太郎さん(ダウン症のダンサー)と私とセッションがあります。昨日のロジャーさんを観ていて・聴いていて、ますます楽しみになりました。また多くの発見が待っている気がします。毎日学びますね〜。ありがたき幸せです。

2月17日 田園調布「いずるばセッション2015 vol.1」http://izuruba.jp
ロジャー・ターナー(打楽器)矢萩竜太郎(ダンス)齋藤徹(コントラバス)
予約・問い合わせ: Tel.080-3584-3315(いずるば)Mail. studio-info@izuruba.jp
19:00開場 19:30 開演
予約 3000円 当日3500円

じゅんこさんとは22日に田嶋真佐雄・田辺和弘・齋藤徹というガット弦コントラバストリオとの共演があります。これも同じ文脈で話すことができる音楽です。音色の機微、弱音の機微は沈黙が担保されてこそ発揮できます。ピアソラ・ファリャ・ワイル・ロルカなどの他に新機軸もいくつか企んでおります。それらも少しご披露できたらな〜と思っています。
2月22日 稲毛 キャンディ http://blog.livedoor.jp/jazzspotcandy/ 15:00開演
さとうじゅんこ(うた)田辺和弘(コントラバス)田嶋真佐雄(コントラバス)齋藤徹(コントラバス)

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