カムルル・フシン、ホルディ・サヴァール
カムルル・フシンさん、さとうじゅんこさんとのリハーサル終了しました。
乗るとどこまでも行ってしまいます。リハも本番も差はありません。
彼のCDから何曲かピックアップしてルバーブ・太鼓2種・歌でガンガンきます。
この近辺の音楽が詳しいじゅんこさんはツボを得たうたでカムルルさんをさらに乗せます。
リズムは強力でフレキシブル、スルナイは金石出のホジョク(テピョンソ)を彷彿、歌はドンドン上昇していきます。壁が震えているようでした。強力なリズムはグナワ音楽の陶酔の2ビートのようです。
私たち日本からの提案は昨日の段階で絞られて「舟唄」「夕影させば」「石のように」になりそうです。気がつくとオペリータ「うたをさがして」からになっています。オペリータの財産は貴重です。ありがとう千恵さん。舟唄でスルナイは出航のお祝いを高らかに歌い、そのまま沖縄に行って六調で踊りまくり、宴が終わってしっとり、「石のように」では、カムルルさん「哀しい哀しい」と言って今にも泣きそうでした。千恵さんの直接の動機が福島だったことを伝えると納得していました。
喜怒哀楽をありのまま表現することは、東京の日常では何となく憚ってしまいますが、彼はそんなことまったく気にしません、というか、えっ何言ってるの?という感じです。
そんな明るいピュアな彼です。しかし、マレーシアでは古典芸能がドンドンと禁止され(イスラム政策のため)政府の希望通りの内容に変更するか、海外で活動するしかないのです。ザイ・クーニンもクランタン地方のMak Yong(歌・音楽・踊りの総合芸能)が大好きだし、研究もしたいのですが観るためには私的にやってもらうしかないんだと言っていました。自らの民族の伝統を自国で演奏できないという大きな矛盾をかかえた演奏というのは、どういう気持ちだろう?と思ってしまいます。多くの人が仕事を辞めてしまったとのことです。
ホルディ・サヴァール(Jordi Savall)、現在世界で活躍する最大の音楽家の一人です。スペイン古典音楽からバルカンへ、アラブへ、アジアへ、南アメリカへ、日本へ地域を広げ、宮廷音楽、民族音楽、シャーマン音楽、おらしょまで、ビオール、指揮なんでもやります。私はこの半年ほどほとんど毎日聴いています。亡くなってしまった奥方モンセラート・フィゲラスさんの透き通るソプラノも心に刺さります。
その彼が、スペイン国家音楽賞(副賞3万ユーロ)を辞退したというニュースを今日聞きました。国の文化政策・音楽政策に抗議してとのことです。巨大な音楽ビジネスとそれに準ずるメディアに対する一石を投じたのです。彼くらいになるとこうやってニュースになるのですから効果はあったのでしょう。
振り返って日本の音楽状況の現場は、とても良いものとは言えませんが、禁止はされていません。食えるか食えないかという別の禁止方法を迫られているとも言えますが、知恵を絞ってやりことは出来ます。マレー音楽の手伝いも出来るわけです。
そんな意味も込めて、本日です。
◎日時:2014年11月6日(木)19:30-(開場19:00)
◎会場:space&cafe ポレポレ坐(東中野)東中野4-4-1ポレポレ坐ビル1F
03-3227-1445
◎出演:カムルル・フシン、齋藤徹(Cb.)、さとうじゅんこ
◎料金:予約3,000円/ 当日3,500円(1ドリンク付)
◎企画・制作:ムティアラ・アーツ・プロダクション 上原亜季