Double the double bass in Japan 2014 第11回目
スーパーデラックスでの9名のコントラバス奏者、2名のダンサーの会でした。今回のツアーの中で最大の人数です。取り仕切ることなどは初めから無理ですので、個人個人に大きくお任せ。そういうセッションであることを分かってもらえていると勝手に思っています。とりわけ瀬尾高志・田嶋真佐雄・田辺和弘さんが昨年まで活動したベースアンサンブル弦311のメンバーであったことが、大いに大いに助かりました。共有や蓄積がいろいろな面で大きく機能していました。
そして、矢萩竜太郎10番勝負!公開リハーサルでの経験がこの三人の可能性をさらに大きく拡げていたことが分かり、大変嬉しかったです。彼らは音楽性のみでなく、「即興性」「演劇性」を良い意味で獲得していました。演奏家はどうしても音楽にのみ集中してしまいます。(それが本来ですけど・・)しかし、ダンスや美術と一緒にやる、他のジャンルの音楽と一緒にやるときは、大きく空間を捉え、今自分がどこにいて、何をやっているのか、何が目的なのか、などなどの優先順位を即座にそして的確につかまねばなりません。しかも、時間つぶしの「遊び」や、バカ騒ぎではなく、ありうるための諸条件をクリアしていなければなりません。
矢萩竜太郎10番勝負!公開リハーサルで庄﨑隆志さんも高橋愛さんも参加してくれていましたし、私と庄﨑さんの演劇を観てくれていたことも役に立ったことと思います。セバスチャンもブッパタールで竜太郎10番勝負!に参加、ケルンでの十番勝負!には客席に居てくれました。何をやるにしても時間をかけて、経験を堆積して、有機的に繋げていくことこそが大事なのでしょう。
庄﨑さん・高橋さんが聾であることを、普通はあまり言わないことにしていますが、今回は多少告知をしました。「聾」というコトバを彼らが誇りを持って使っていることさえ、あまり知られていない状況です。(私も知りませんでした。)最後に山下惠里さんが手話通訳をしてくれたのを見て初めてそのことに気がついた聴衆もいらっしゃいました。第一部最後の音と動き(笠が落ちる)のシンクロなどは聞こえる人がやっても至難なことですが、バッチリ決まりました。人間の可能性を感じると共に、聞こえる、とは何か?を考えざるを得ません。
冷たい雨の中、たくさんの聴衆がいらっしゃり、スーパーデラックスのマイクさんもスタッフも大変よくしてくださり、わたしにとってプレッシャーの大きかった会が無事に終了することが出来ました。ありがとうございました!もちろん参加してくれたベーシスト、ダンサーには最大の感謝を捧げます。