9番勝負@ケルン日本文化会館
ヒロシマ・ナガサキ公園に隣接する会館。照明と移動の関係で2時に到着。立派なホールで竜太郎さんは緊張と歓びを身体で表しています。テキパキと作業も済み、恒例のジャンさん体操。あと二回です。思えば遠くへきたものです。
竜太郎さんのソロで始まり、2人のダンサーとそれぞれのミュージシャンのデュオを6通り、音楽のみのトリオ、全員、ダンサー2人という流れを作りました。個々の可能性を十全に出すためと、全員が全員をじっくり観たり・聴いたりする時間を取るためです。このアイディアに至るまで、いろいろなシミュレーションをしましたが、これがベストだろうと思い、提案しました。
大きなステージにいつものように椅子を非対称に並べ、演技をしていないときはそこへ戻るという決まりを作りました。あまりに大ざっぱな言い方で気が引けますが、ドイツ人とはこういう取り決めがとてもうまく行くような印象があります。
功を奏して会はとてもうまく行きました。竜太郎さんの生涯ベストだ、と私は直観しました。それほど、彼の日々の成長が明らかにスゴイのです。いや、もしかしたら、そうでないかも知れませんぞ。私たちこそが、彼に対してバイアスの掛かった見方をしていたのかも知れません。いつでも、公明正大なココロを持たねばならないという教えです。
こういうちょっと大きめのプロジェクトの良いところは、多種類の人々に会えることです。公演後のレセプションで、障がい者教育学教授をしていた紳士は本当に的を得た感想を述べてくれました。「もっともっと言いたいことがあります、後でメールで送ります」、という丁寧な態度にさらに感服。ちょっと聞いただけでも、私の考えと全く同じだったので大変嬉しかったです。公開リハーサルからの試み、さらに遡って竜太郎さんとのつき合いの日々が肯定された、これで良かったのだ、と言う何とも言えない歓びでもありました。また、ダウン症の人達と長年雑誌作りをしている人にも会いました。その雑誌は多くの賞を受賞しているとのこと。これらの人達との繋がりは日本でもどんどん伝え、大事に続けなければなりません。
仏教を研究している人が公演に感動してずっと泣いていました。それで良いのです。初めて竜太郎さんのダンスを観た人が、彼の「明るさ」「肯定感」「純粋・無垢」に感動しても、もちろん良いのです。感動している自分に感動しているのかも、なんて皮肉を言わなくて良いのです。すべてを巻き込んで、淡々と進んでいけば良いのです。セ・ラ・ヴィ。