来日記念盤 間に合います。
昨年のドイツツアーで録りためた音源からセバスチャン・グラムスさんとのデュオCDの制作を進めていましたが、ツアーに間に合うことになりました。ほっ!
ダルムシュタットでのライブ録音
ミュンヘンでのライブ録音(バール・フィリップスさんも加わりベーストリオ)
フライブルクでのライブ録音(バイオリンのハラルド・キミングさんも加わりトリオ)
ハイデルベルクの劇場での聴衆無しの録音
から全8曲
タイトルは 樂 RAKU Double the double bass #3 in Germany 2013
樂という字は、二つの弦楽器が木の台に乗っているのが語源と言います。旧字体の糸の部分が弦楽器だというのです。
選曲で二人のデュオを聴きながら、いままでの即興ベースデュオとの違いは何?ん~そうだねぇ、何か、全体的に楽しそうだ、という事を思い、漢字を調べてタイトルにしました。
前作「明」(喜多直毅さんとのデュオ)CDで大評判だった板谷諭使さんの字を思い出し、これは頼むしか無いっしょ、ということで急遽、書いて(描いて)もらいました。ありがとうございました!漢字シリーズがつづくのでしょうか?
デザインのマイキーとあーだ、こーだと言いながら、double the doublebass という「ダブル」にちなんで写真や字もダブルにしちゃおう、とか、字をすこし傾かせて踊っているようにしようかとか・・・楽しい作業でした。(アルトーの「演劇とそのダブル」日本語訳ではダブルは「分身」と訳されていますね。ちょっとエコーしています。)
このツアーで、私はペーター・コヴァルトさんのメイン楽器(現在セバスチャンさんが所有)を弾きました。持参のガット弦を張りました。裏の写真でかすかに見えるように、エンドピンが無くなっていて、ドラムのスティックを差しています。そのエンドピンがすべっている音も入っています。これがまた楽しさ・笑いを誘います。「真面目」にやっている時に限ってすべるのです。その音こそユーモアでした。
マスタリングの島田正明さんも驚いていたように、全ての録音が調整をほとんど必要としないほどの音質でした。やはりベースのヨーロッパ録音は楽です。整音はアナログ回路を通すことが主な仕事、最高質のリバーブをほんの少し付け足しただけです。イコライズ全く無し。
ダルムシュタット(大盛況でした。)もミュンヘンも地下のワイン倉庫か、防空壕かだったようなところ。と言っても私たちが想像するより全然広いです。ハイデルベルクの小劇場では、ちょうど、直前に演劇「コントラバス」パトリック・ジュースキント作、を上演していて、その役者さんも立ち会ってくれて、縁を楽しみました。
セバスチャンもこの選曲・デザインをことのほか喜んでくれています。来日記念盤としてのやっつけ仕事では無く、長く聴かれ続けるものになっていると思います。
セバスチャンは明日からポルトガルに一週間ツアー、ドイツに帰り、翌日が20日、竜太郎10番勝負!の7番目の日で、ブッパタールORTに駆けつけてくれるそうです。きっと飛び入りもあるのではないかな~。(日本ツアーでは10/19に「いずるば」で矢萩竜太郎・堀川久子・山上渡さんとのセッションで再会することになります。)
人が動き、音が動き、思いが動き、楽しみがワサワサワサワサと動くのは生きていて楽しいことです。