旭川への汽車の車窓からは鶴がシベリアへ向けて隊を成して飛んでいくのが見えます。雪がまだまだ残る旭川です。到着後一休みしてダンスワークショップ。さまざまなジャンルのダンス経験者を中心に振付の仕方を伝授します。私は疲労が脳の通訳機能を溶けさせているのか、支離滅裂寸前の通訳。役に立たないギリギリでした。ジャンの話していることは逐一理解しているのですが、通訳する時になると半分は忘れてしまっています。国際会議の同時通訳者は5分おきとか10分おきくらいに交替し、すぐに糖分を取ると言う話を思い出しました。とまれ反省しきり。その分、三組のみなさんの発表の部分で演奏を付けさせて頂きました。(ジャンもこの時は結構「行って」はりました。)
16日は身体と音のワークショップ。「からだ・ことば・おと」企画で、ソロでの「序章」からジャンとの「第一章」を経て第二章。だんだんと参加型になっていく傾向です。主宰モケラ峰子さんの念願であるワークショップですのでプレッシャーもありますが、当たり前のように、出来ることしか出来ませんので、今持っている経験や情報のどれを選択するかが私にとって最重要課題になります。今後の人生はこういう作業が大事になってくると思います。今、私がワークショップを依頼される機会はほとんどありません。世界中でワークショップをやっているジャンとは正反対。その分、新鮮で、しかも試されます。先生は向いてないんだよね、なんて言っている場合じゃない訳です。
札幌での経験を活かし、おしゃべりよりも実践中心にやりました。海童道、アーノンクール、ジャック・アタリの文章はコピーして渡し、後で読んでもらうことにし、楽譜もコピーして参加者に渡し、時間の最後に一つのパフォーマンス雛形を作るようにしました。その中には呼吸・数字とリズム・音と記憶・聴くこと・音とは?などなどてんこ盛りになっています。ジャンがやっていることとの関連(螺旋・呼吸・身体は友達)を強調したり、歌ったり、身体を動かしたり、叩いたり、聞こえない音を出したり、ただただ聴いたり、コトバ以前の音やコトバを発したり(春日大社の警しつなど)。きっと将来「女達の一弦」に近い形のプレゼンができる予感。私にとっても、小泉文夫・白川静・野口三千三・三木成夫・海童道・アタリ・アーノンクール・岡本太郎のコトバを読み返す良いチャンスになります。