my spanish heart
ブラームスやワーグナーよりは、ファリャ、モンポウが好きでした。私の和声感覚があまり発達していなかったためかもしれません。和声よりリズムであり、音色であり、メロディです。あまり多くの声部を持つ音楽は身近には感じることができませんでした。ピアノの十指の和音が苦手なのもそのせいでしょう。
弦をつま弾く感じが好きですし。その1音の中にある雑多な倍音を聞きわけることが言ってみれば私の和声です。違う楽器のユニゾンに芳潤な和声を感じてしまうわけです。
ラテン好きはどこから来たのか分かりません。子供の頃のニッポンはラテン音楽がそこここで流れていました。西田佐知子コーヒールンバ、アントニオ古賀、トリオロスパンチョス、バナナボート、エノケン、ザ・ピーナッツなどなど昭和三十年代はコモンセンスだったのです。黄金時代のグランドキャバレーでは、ジャズバンドとラテンバンドが入れ替わりでやっていたと言うことです。ジャズとタンゴが替わる合図が「コラソン・デ・オロ(黄金のこころ)」だったと高柳昌行さんに聞きました。ボンゴを叩いている富樫雅彦さんの写真もみたことがあります。
私には4ビート、8ビートが希薄で、2ビート、16ビートが濃厚であることには、楽器を始めた後で気づくことになりますが、ラテンの2ビートは習った教材という感覚はなく、タンゴでもサンバでもすぐに我が心に懐かしい音楽でした。韓国系の3拍子、5拍子も懐かしいものでした。音階は何と言ってもギリシャのリディアン旋法がフィットします。いったい私の民族的出自はどこなのでしょう?30年ほど前にブエノス・アイレスにトラで行った時、何人かの現地ミュージシャンに興味を持たれ、セッションをやったとき「なんで、お前はできるのだ?」と言われたことを覚えています。
とまれ、4月2日のキッドアイラックホールは、my spanish heartになりそうです。
コントラバストリオでのピアソラを挟みながら、さとうじゅんこのタンゴ、フォルクローレ、スペイン民謡、クルトワイル、徹。それにジャン・サスポータスが絡むのです。ジャンはご存知のように音楽通、タンゴは特に好きです。ブッパタールの自宅近くに作ったカフェ・アダでは毎週タンゴナイトが大評判で、一晩中踊っています。(遠くはオランダからも踊りに来ます。それもみんな普段着!)カフェ・アダでもブエノスからダンス教師を招聘しています。ジャンが今のパートナーと出会ったのもカフェ・アダでのミロンガだと聞きます。
コントラバヘアンド、ウノ、アルフォンシーナと海、ユーカリタンゴ、ロケベンドラ、イパカライの想い出、ファリャ3曲、南米の賛美歌、コラール、恋人なんかいなかった、ありがとう命、チャカレーラ、サエタ~ロルカ3曲、エスクアロ、花咲くオレンジの木、タンゴエクリプス2~3章、チキリン・・・
南米の賛美歌とは、パブロ・ソーサ作曲19曲の賛美歌集「ESTE ES EL DIA」から。昨年末、並木家での「感謝と希望のホームコンサート」で恵さんのリクエストで用意したものです。ミロンガやカンドンベでの親しみやすい曲集から2曲予定しています。きっとはまります。
ありゃりゃ、ちょっと多いかしらん?
4月2日(水) 明大前キッドアイラックアートホール http://www.kidailack.co.jp/「花よりタンゴ」
19:00開場 19:30開演 予約3000円(学生2500円)当日3500円(学生3000円)
withさとうじゅんこ(歌)田辺和弘(コントラバス)田嶋真佐雄(コントラバス)
予約 電話:03ー3322ー5564 メール:arthall@kidailack.co.jp