謎解きが続いています。

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さかんに動き回っていた時期を過ぎて、じっと勉強しています。ドイツWergo社から誕生日に合わせて発表されるステファノ・スコダニビオ追悼CD「thinking of…..」の譜読みです。ステファノさんはALSで昨年惜しくも亡くなってしまいました。ほとんど私と同年輩です。ずっと透析をしていたとは聞いていました。いくものフェスティバルで一緒に参加していましたがすれ違いばかり。いつかは会ってみたい人でした。

 

ジョン・ケージのバイオリンのためのフリーマン・エチュード、ベリオのチェロのためのセクエンツアを弾いたり、テリー・ライリーと共演を続けたり現代音楽コントラバス界で多大な貢献をし、作曲家としてもアルディッティカルテットのために曲を書いたり、インプロバイザーとしてもさまざまな活動を続けていました。ECMの近作ではメキシコ民謡やバッハを弦カルのために編曲したり。

 

彼の最大の功績はやはりコントラバス用の作曲でしょう。バール・フィリップスとも親交があり、サンフィロメンにも訪れ、プジョービルの小さなスペースで演奏もしたとのこと。バール曰く、彼の作曲には即興演奏を譜面化する方法も取っていた、ということ。私にもその方法を試してみなさい、と言ってくれていました。(なかなか出来ませんが・・)

 

変則チューニングやスティックを使う方法、両手でピッチカートする方法などオリジナルなアイディアに溢れていますが、最大の特徴はハーモニックスの領域でしょう。CD丸ごと1枚をハーモニックスのみで演奏した「voyage that never ends」、オリジナリティ溢れるソロ作品集「Geografia Amorosa」を聴いたときは本当に嬉しかったですし、呆然としてしまいました。実際に会うことは出来ませんでしたが、この録音に参加できるのは私にとって大変名誉なことです。

 

彼とデュオも組んでいたケルンのSebastian Gramms(私も入った50人のコントラバスオーケストラを作ったり、私とのデュオも録音済み、昨年ドイツの最優秀ジャズベーシストになりました。)が計画・立案し、未亡人とも連絡を取りこの実現に漕ぎ着けました。(セバスチャンは本年10月招聘予定です。ベースアンサンブルもやってみたいですね~)

 

昨年のISBでもマーク・ドレッサー、ダニエル・ロカートを中心に急遽追悼の演奏が行われ、その時のアナウンスは「いまのベーシストがボッテシーニを弾くように、将来のベーシストはスコダニビオを弾くでしょう」ということでした。それほどコントラバス界では大事に思われて尊敬されてきた人なのです。

 

さてどのように録音するか?

多忙を極めるベーシストばかりで一堂に会すことは不可能です。

 

Barre Phillips (US) Joëlle Léandre (F) Christine Hoock (D)  Mark Dresser (US) Barry Guy (GB) Daniele Roccato (IT) John Eckhardt (D) Tetsu Saitoh (Japan) Sebastian Gramss (D)

Dieter Manderscheid (D) Haakon Thelin (NOR)

 

 

セバスチャンが試行錯誤の末に考え出したのが綿密に書かれたパート譜を世界中に送り、録音方法も緻密に練り上げて、11人がソロ録音をしてセバスチャンに送りそれを彼が編集するということ。

 

ドサッと送られてきたのが59枚におよぶA3とA4の譜面でした。パート譜から全貌は見えません。考え抜かれているのでしょうから信じて作業を進めるしか有りません。まずパート譜の読解に膨大な時間がかかります。まず、発想を理解すること、ドイツ人の英語を理解すること・手書きの英語を読むこと、ストップウォッチやクリックの使用法をマスターすること、ずっと謎解きのような作業を続けています。

 

来週録音するのですが、バリー・ガイからもマーク・ドレッサーから「3~4時間でできる、って言ってたけどとんでもない、丸1日かかったよ」と連絡。私はオペリータやフラメンコで出遅れているので録音が締め切り間近。あわてて日にちを変更し7時間押さえることがやっと出来たところです。

 

CD制作成功のため張りきって謎解きをつづけます。

 

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