(写真は文章と関係ありません。安元亮祐さんのペインティングです。記念に。)
スペイン、ポルトガルより、アルゼンチン、ブラジル、ペルー、チリ、ボリビア、ベネズエラなどの音楽のほうがバラエティに富んでいて勢いもあるように思います。第一には混血は純血よりも生きる力が勝ることがあるでしょうし、「辺境」にこそ物事を作り出す要素があるという理由もあるでしょう。
シコ・ブアルキやカエターノ・ヴェローゾがファドを作っていること、カエターノは昔のアマリア・ロドリゲスの映像にジャニーズのような格好で出演していたとか、ペソアの詩に多くのブラジルのミュージシャンが歌をつけている特集が2枚あります。いずれもブラジルからポルトガルへむけてのものでした。
今は少し様子が変わっているようにも見えます。
Antonio Chainhoというポルトガルギター奏者がアドレアナ・カルカニョット、ネイ・マトグロッソ、エルバ・ラマーリョ、アルマンヂーノなどなどをゲストに録音、Carminhoという若き女性ファド歌手がシコ・ブアルキ、ミルトン・ナシメントなどをゲストに録音していてそれらがなかなか素晴らしい。かつてジャズベースのチャーリー・ヘイデンがカルロス・パデーレス(ポルトガルギター)と録音していました。(その録音よりYouTubeにある2人のライブは何倍も面白いものがあります。)
ブラジルのミュージシャンはヨーロッパでは母国と同じようにスターのようです。エドゥ・ロボのように日本では通受けのような人も最近オランダのmetropole orkestとの共演盤で大盛り上がりでした。
ひるがえってスペインからのアプローチというのは私の知る限りあまりなかったようです。(パコ・デ・ルシアがハファエル・ハベーロと共演したテイクは素晴らしかったです。一曲だけでしたが。)しかし、最近のフラメンコ・マイブームのおかげでDiego el Cigala という歌手を知りました。彼はキューバ、アルゼンチンをどんどんレパートリーに加えています。共演がグラミー賞を取ったピアノのBebo Valdesや、彼自身のレーベルからでていたベーシストYelsy Gerediaはキューバだし、Yelsyを伴って行ったアルゼンチン公演ではファンホ・ドミンゲスやネストル・マルコーニとともにタンゴやフォルクローレを何の違和感もなく堂々とフラメンコスタイルで歌っていました。
大変スムーズな良い音楽が成り立っています。言葉が共通なのですから当たり前ですが、スムーズ過ぎて何か変、と感じるくらい。気がつくと、私が「変」と感じた理由は、フラメンコなのにアラブの要素がほとんどないことでした。ジャズフォーマットでもピアノとでもそのまましっくり行くのはそのためなのです。私にとっては西洋音楽で理解不能なアラブの要素に強く惹かれていますが・・・
市ヶ谷にセルバンテス文化センターというのがありガルシア・ロルカ図書館が中にあります。(レストランは素晴らしい!)当センターはスペイン語を話す文化を広めるためのもので国を超越しているとのこと。シモン・ボリバル主義とは別にそういう括りもあるのだと感心しました。(当センターで2月の初めの公演に参加する予定があります。)