明日から「いずるば」で「還ってくるアルトー」公演が始まります。
2001年ミッシェル・ドネダとの春のヨーロッパツアーでアルトーには強烈な経験があります。
フランス・スイスを回るツアーでした。(途中で小鼓の久田舜一郎さんが一週間ほど加わりました。)その1箇所がロデス、アルトーが強制収監され51回にもおよぶ電気ショック治療を受けた精神病院のある街です。(「ロデースからの手紙」白水社)その数年前のツアーの時にアヴィニオン(城壁の外)の大きなギャラリーで打楽器奏者アラン・ジュールの美術個展が開かれていてそこでアラン、ミッシェル、バール、徹、+ミッシェル・マチューというパフォーマンスがありました。バールとアランはECMでデュオ作品をリリースしていますし、ドネダ・ジュール・フィリップスという暫定的なトリオもやっていました。そのトリオに私と沢井一恵が加わった5th SEASONというグループも結成されヨーロッパツアーもしていました。
初対面のミッシェル・マチューさんは有名なコメディアンと紹介されました。てっきり喜劇役者と勘違いしましたがフランス語ではコメディアンとは俳優一般のことと後で気がつきました。ああ恥ずかし。彼は即興演劇をやっていて2度と同じ事をしないように、自分で衣装・小道具を満載した大型バスを運転して来ていました。
http://irea.free.fr
http://www.theatre2lacte.com
その劇団 THETARE 2 L’ACTEがロデスのレジデンスアーティストをしていてその年のアルトー詩祭を仕切っていました。
私はそのツアーで現在使用しているガンベルのコントラバスを初めて借り受けたのでそれはそれはゴキゲンでした。そのツアーのロードムービー風のCD「春の旅’01」の解説に書きました。
http://members.jcom.home.ne.jp/barberfuji/spring.html
マチューさんとはその後、「影の時」(ミッシェル・ドネダ、レ・クアン・ニン、沢井一恵、今井和雄、徹)のトゥールーズ公演をやってくれたり、私のソロ、そしてジャン・サスポータスとのデュオもやってくれました。わたしにとってもっともフランス的な人です。
さて、昨年から抜き差しならぬ関係が始まった庄﨑隆志さんのお誘いで今回の参加になりました。ベーコン展での土方巽、土方展でのベーコン展示、など考えると土方さんがアルトーとベーコンを繋ぐ役割のようです。そういえば土方さんの朗読「慈悲心鳥がバサバサと骨の羽を拡げてくる」の朗読とアルトーのラジオドラマ「神の裁と訣別するために」はどこか似ています。
そして「過剰」な人・庄﨑隆志さんがアルトーを演じ、米内山明宏さんが演出し、安元亮祐さんが美術を担当、8月末にキッドでジャンさんと息を呑むパフォーマンスをくりひろげた貴田みどりさん、お初の江副悟史さんも参加、そして我らが矢萩竜太郎さんも参加という今回のアルトーはどうなるのか、参加する私もワクワク・ドキドキです。