自分の耳のこともあるし、「風の器」という大事な共演者も得たから、と言うわけでもないでしょうが、耳関係の人の情報・話が集まってきます。
松本竣介さん(画家)は堀江敏幸著「郊外へ」(白水社)という本の表紙の絵で知りました。静かなで美しい文章だな、と印象的だったので絵も覚えていました。松本さんが若くして聴覚を失ったことは知りませんでした。他の本で観た同じ絵の青が余りにも違いました。盛岡出身(また東北),舟越保武さんと同輩。空襲警報も聞こえない中、不安と自信の交錯する細い線・太い線を描き、オリジナルな「青」を発見。36歳で早世。
佐村河内守さん(作曲家)現役。広島被爆二世。全聾。極度の偏頭痛、頭鳴症(最大の耳鳴り)、神経症、発狂、腱鞘炎、ホームレス、ロック歌手、なんとも壮絶な人生が著書「交響曲第一番」(講談社)に書かれていました。絶対音感を頼りに作曲を続けているとのこと。それもトイレの前で簡易机をぶら下げて書いているそうです。音楽大学へ行くのを拒否した理由が「所謂、現代音楽を書きたくなかった」といいます。