ポレポレ坐徹の部屋vol.24 風の器・ジャンサスポータス・徹

今回のジャンさんツアーで、初共演になるのは24日のポレポレ坐徹の部屋vol.24。風の器の庄﨑隆志・南雲麻衣さんとのセッションです。先日お二人と新年会をやりました。会うときはいつもリハーサルか本番なので、ゆっくり話をすることがなかったので貴重な時間でした。

たとえば、彼らとつきあう時の基本中の基本、「聾唖者」「聾者」「聴覚障害者」の違いを私はよく分かっていませんでした。「聾」という言葉を誇りを持って使っていること、文化として捉えているということを初めて知りました。聴覚「障害」という言葉は使いたくない、という当たり前のことさえ気がついていなかった自分を恥じました。ちなみに「聾」はタツノオトシゴから来ているそうです。そういえば、龍が入っていますよね。

庄﨑さんの「過剰さ」は表現者としての業のようなもので、並・普通のものでは全く満足できないのでしょう。私の知人がこの前のポレポレを観て、アントナン・アルトーをやってもらいたい、と感想を言っていたことをつたえると、彼もずっとやりたかった、ということ。どこにも収まりきらない「過激」な人です。

南雲さんは、いろいろな人間関係を繋ぐ役をしていることもわかってきました。明るい性格からごく自然に人と人を繋げてしまうようです。この前、ブログで紹介した日本画家・中村正義さんのお孫さんとは大変親しいこと、今度私がご一緒するジャワ舞踊の佐草さんとの関係もあったり、私のベースの生徒さんと顔見知りだったり、私の回りだけでも曼荼羅のように繋がっています。

ジャンさんとの出会いから必ずやさらに大きな輪がひろがるでしょうし、庄﨑さんの過剰さの一部はどこかに収まり場所を見つけるかも知れません。

当日は即興を中心に構成しますが、事前に2回、リハーサルということで集まります。実は、すべて本番ですね。人生と同じです。

チラシの情報

徹の部屋Vol.24 「聴くこと・待つこと・信じること」
■日時:2013年2月24日(日)18:30open/19:00start 
■出演:ジャン・サスポータス(ダンス)、庄﨑隆志(ダンス)、南雲麻衣(ダンス)、斎藤徹(コントラバス)
■料金:予約3,500円/当日4,000円(ワンドリンク付)
■予約:03-3227-1405(ポレポレタイムス社)Email : event@polepoletimes.jp
■協力:EU-Japanフェスト日本委員会
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音に合わせるのは大変だろうとお客さんは思うでしょうが、そうなってみると、さほどではないのです。
まったく聾(右耳110デジベル・左耳110デジベル)である僕のミミには、雑音はまったく聞こえません。
けれども、徹さんの振動は聴きとれます。僕のカラダの中に起こる内側の音を聴くこともできます。
僕らが出番をひそかに待つあいだ、弦を弾く徹さんの指先の動きが手毬の様にメロディを紡ぎます。
それはやがて、溢れるようなカラダの動きに変化していきます。
カラダを通して魂を表現していくのです。魂は時には胎児になったり、大魔界に入ってしまったりする。
心臓とその他の内臓が火山になって、血の流れを、三途の川にしてしまう。
僕はそうしたなかで、忘れていたこと、自分の人生のなかでとても大切だったことを思い出したりするのです。ふとした気付きや別の記憶にも繋がっていき、思わず表現してしまうのです。
即興をして、さりげなくわかったような気がします。僕はそんなスタイルが好きです。
雑音が聞こえたとすると気持ちが乱れていたかもしれない。カラダの働きは自然の働きと密接につながっています。カラダと音楽とポレポレと、、、さまざまなものが自然のうちにつながっているのだと思うようになりました。言葉にとらわれないで自由になると、心は即興へ導かれる。遠いはずの二つの世界もどこか似ているような確信して演じていく。「聴くこと」「待つこと」「信じること」の大切さを実感しています。だからドラマチックな「はじまること」はありません。もっともっと好奇心を刺激するステージをしていきたい。様々な魂たちが、何を巻き起こすでしょうか。(庄﨑隆志)
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ポレポレ坐シリーズ「徹の部屋」は5年目に入りました。私の最も大事な仕事になっています。初期は様々なゲストを迎えていましたが、だんだんと「その時大事なもの」をやる、というようになり、さらにゲストが有機的に繋がり始めています。今回はその典型。昨年夏に初共演した「風の器」(庄﨑隆志・南雲麻衣さん)と半年後ここで再演(牡丹と馬)。ジャンさんとポレポレは「ミモザの舟に乗って」「ベースの森の中で」(Skype出演!)「うたをさがして」と続いています。今回はこの両者の出会いです。昨今、「出会い」とか「初共演」という言葉がイヤミに感じられる程、都合良く使われていますが、
これは本来の出会い・初共演でしょう。それぞれの長い経験や狂おしい希望が、あるとき(今日)・ある場所で(ポレポレ坐で)「出会う」のは偶然ではありません。引き合わせる私も同じです。そして、焦ってはダメです。ポレポレ坐の原点(ポレポレとは、ゆっくりゆっくりというスワヒリ語)に照らしたいと思います。「聴くこと」は「待つこと」であり「信じること」というのは長年の私のテーマです。
このセッションでその断片が見える予感がしています。(齋藤徹)
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★ジャン・ローレン・サスポータス(ダンス)
カサブランカ生まれ。マルセイユで数学・物理・哲学を学ぶ。
’75年パリでモダンダンスを始め、’79年ピナ・バウシュ舞踊団のソロ・ダンサーとなる。
世界中の劇場で踊り続け、ピナの代表作「カフェ・ミュラー」は以来30年間300回を超える。
ペドロ・アルモドバル監督「トークトゥーハー」(アカデミー脚本賞)の冒頭で使われ、
「世界で一番哀しい顔の男」と評される。
現在は自らのダンスグループ「カフェ・アダダンスシアター」を結成、俳優、オペラ演出、
振付家、ワークショップなどで活躍している。合気道から派生した「気の道」をマスター。
日本文化全般に造詣が深い。
★庄﨑隆志(演出家・役者)
Office風の器主催。コトバや性別、年齢、国境を越えて楽しめることをモットーとし、
無言劇、日本舞踊、神楽、京劇など、様々な手法を用いて、視覚的コミュニケーションを追求した舞台や舞踊を創り出している。『Rasyomon』『白痴の空歌』『雨月』『UKIYOE』『オルフェウス』など数々の舞台の演出を手掛け、日本では、シアターX提携公演、横浜赤レンガ、ランドマークタワー、世田谷パブリック劇場を代表とした全国各地750箇所2000ステージ、海外では、欧米、アジアの14箇国で公演を行った実績を持つ。1983年第8回国際デフ・パントマイムフェスティバル審査員賞ジュリー賞(チェコスロバキア)、1991年国際アビリンピック舞台芸術部門銀賞最高アイデア賞(香港)2010年横浜文化賞・文化芸術奨励賞受賞。
★南雲麻衣(ダンス)
1989年8月2日生まれ。聾者。5歳からモダンダンスを始める。和光大学で創作ダンスに出会い、魅了されていく。現在は風の市プロデュース劇団員、劇団しゅわえもん(東京)スタッフ、ダンサー。
風の市『アリランの蛍』、『手の詩 賢治の詩』コンテンポラリー『牡丹と馬』出演。
劇団しゅわえもん『あらしのよるに』主役、風の市『五輪書のぼうけん』主役。
今後はさまざまなパフォーマンスにチャレンジし、表現者として新境地を開拓していく。
趣味はカフェめぐりと舞台鑑賞。
★齋藤徹(コントラバス)
舞踊・演劇・美術・映像・詩・書・邦楽・雅楽・能楽・西洋クラシック音楽・
現代音楽・タンゴ・ジャズ・ヨーロッパ即興・韓国の文化・アジアのシャーマニズムなど
様々なジャンルと積極的に交流。ヨーロッパ、アジア、南北アメリカで演奏・CD制作。
コントラバスの国際フェスティバルにも数多く参加。
コントラバス音楽のための作曲・演奏・ワークショップを行う。
自主レーベルTravessia主宰。

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