徹の部屋vol.23「牡丹と馬」再演

チラシの文章から
「演奏活動を続けてきて良かった」風の器との 真夏の初演は鮮烈でした。何が良かったのかうまく分析できないのでそう言うしかありませんでした。滅多にない出会いとはそんなものなのでしょう。「生きていて良かった。」と思ったのです。
演奏活動をはじめたころ、野口体操で有名な野口三千三さんの「からだに貞く」「おもさに貞く」と言う本に影響を受けました。「貞く」を「きく」と読みます。思えば、香もきく、酒もきく、融通もきくですね。もうひとり影響を受けた漢字研究の泰斗・白川静さんによると「音」は神に対する問いかけで、その答えは器に入れた水がかすかに動くかどうかだそうです。嘘をつくと入墨用の針で刺されます。夜中にじっと答えを「待つ」のです。「暗い」も「闇」も「音」が入っていますね。音は目で聴く神の答えなのです。「聴く」「待つ」「信じる」など私が音に関わってきた動機に直接かかわってくることを風の器は思い出させてくれます。彼らとセッションを続けていくことは「発見」であり「教え」であり「きっかけ」なのです。続けなければなりません。(齋藤徹)

 

「牡丹と馬」は2回目の公演となりますが、とっても贅沢なコラボレーションです。演出にあたっては、齊藤徹さんとのコンビネーションがとても重要な要素でした。だからこそ、他では作り出すことのできない舞踊の世界―耳で聞く芸術から、目で聴く芸術、身体で感じる芸術へと跳躍することができたと実感しています。言葉を全く使わず100%ありのままの身体の響きあいによって創造することを念頭に置きました。徹さんの響きは、私が聞こえないのに、とても温かく身近な感じがして、とても不思議な「魔力」を放っています。何を感じているのか観てとってくだされば幸いです。
コンテンポラリー・舞踏の演出は初経験となります。芝居の演出は数を重ねてきたつもりですが、芝居と舞踏の根本的な違いに緊張しています。しかし、あらかじめ台詞も装置も想定せず台本を捨てておいてから、身体100%で創る舞踊や舞踏が、好きなのです。日本舞踊やお神楽、民俗舞踊が面白くて、通い詰めたこともありました。もうたいぶ昔のことですが、〈大野一雄〉や〈山海塾〉〈勅使河原三郎〉などのステージに感動したことを覚えています。なんといっても、舞踏は、人間以上のことをしてくれるから面白いのです。

徹の部屋Vol.23 「牡丹と馬 遠野ものがたり」

■日時:2012年12月24日(月・祝)13:30 open/14:00 start
18:30 open/19:00 start 昼夜2回公演
■出演:庄崎隆志、南雲麻衣、斎藤徹、山下エリ
■料金:予約3,500円/当日4,000円(ワンドリンク付)
■予約:03-3227-1405(ポレポレタイムス社)Email : event@polepoletimes.jp
■協力:EU-Japanフェスト日本委員会

庄崎隆志(演出家・役者)
Office風の器主催。コトバや性別、年齢、国境を越えて楽しめることをモットーとし、
無言劇、日本舞踊、神楽、京劇など、様々な手法を用いて、視覚的コミュニケーションを追求した舞台や舞踊を創り出している。
『Rasyomon』『白痴の空歌』『雨月』『UKIYOE』『オルフェウス』など数々の舞台の演出を手掛け、日本では、
シアターX提携公演、横浜赤レンガ、ランドマークタワー、世田谷パブリック劇場を代表とした全国各地750箇所2000ステージ、
海外では、欧米、アジアの14箇国で公演を行った実績を持つ。
1983年第8回国際デフ・パントマイムフェスティバル審査員賞ジュリー賞(チェコスロバキア)、
1991年国際アビリンピック舞台芸術部門銀賞最高アイデア賞(香港)2010年横浜文化賞・文化芸術奨励賞受賞。

★南雲麻衣(ダンス)
1989年8月2日生まれ。聾者。
5歳からモダンダンスを始める。和光大学で創作ダンスに出会い、魅了されていく。
現在は風の市プロデュース劇団員、劇団しゅわえもん(東京)スタッフ、ダンサー。
風の市『アリランの蛍』、『手の詩 賢治の詩』コンテンポラリー『牡丹と馬』出演。
劇団しゅわえもん『あらしのよるに』主役、風の市『五輪書のぼうけん』主役。
今後はさまざまなパフォーマンスにチャレンジし、表現者として新境地を開拓していく。
趣味はカフェめぐりと舞台鑑賞。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です