8月8日徹の部屋vol.21 終了しました。
おかげさまで無事終了しました。
体調を崩した1ヶ月でしたが、田辺・田嶋さん強力な協力で乗り切ることができました。
どうしちゃったのか超満員でキッチンが大わらわでした。
「期待はずれ」?のお客様が第1部でお帰りになった後、演奏がのびのびしたという印象を共演者二人とスタッフが異口同音に言っていました。liveはその場のすべてが関係しているのですね。
当日配布したご挨拶です。↓
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本日はお暑い中、ご来場誠にありがとうございました。酷暑の日中を過ごした後にライブ会場に足を運ぶのがどんなに大変なことか、よくわかります。昨年都心をはなれましたので、遠い方のご苦労もわかるようになりました。それにすこしでも報いるよう演奏したいと三人とも思っております。
私がブエノス・アイレスを訪れたのは1986年ですので、早いもので、もう26年。アマチュアタンゴ楽団のコントラバス奏者が直前に逃亡した!というので、助っ人として参加したのです。ピアソラをぼんやり知っていたくらいでしたが、地球の裏側へ行くという誘惑にちゃっかり乗りました。
オスワルド・プグリエーセを敬愛する楽団でしたので、そのレパートリーを一生懸命なぞっていました。採譜をしたのが、いまやピアソラ研究家として著名な斎藤充正さん、ピアニストはその後ファイナル・ファンタジーのゲーム音楽をやって巨大成功した植松さん、チェロが私を誘ってくれた翠川さん、その他、県庁職員、主婦、青果業、引退したタンゴ奏者たちを進学塾経営者がリーダーとなった不思議なプロジェクトで、カサ・デル・タンゴ(タンゴの家)にグランドピアノを贈呈した記念でした。バブル経済の最後のころでしょう。
プグリエーセと共演するということは「御前演奏」のようなものだ、という熱心なファンが何人も同行。あがた森魚さんも1曲一緒に歌わせてくれと同行。私としては「何がなんだかわっからないのよ」状態でした。
現地でのできごとは長くなるので省略します。ともかく物見遊山気分で一番熱の無かった私が一番真っ赤になって興奮して帰ってきました。すぐにピアソラを演奏するグループを立ち上げ1990年にCD録音。全曲ピアソラのCDというのは日本で初めてだと思います。ピアソラに渡して欲しいと高場将美さんに託しましたが、当時、ピアソラはヨーロッパで倒れ、大統領が差し向けた飛行機でブエノスへ帰ってきたところ。昏睡状態。
その後、「デビュー前」の小松亮太さんとCD「アウセンシャス」録音。神奈川フィルハーモニーで「タンゴ・エクリプス」を作曲・演奏。しかし、それをピークにタンゴから遠ざかりました。それでも、なにかこころの底にくすぶり続けるものがあり、トリオ・ロス・ファンダンゴスと遊んだり、乾千恵さんの「七つのピアソラ」(岩波書店)出版記念にオリビエ・マヌーリ(バンドネオン)ジャン・サスポータス(ダンス)と千恵の輪トリオを結成、ツアーもしました。
そして、ピアソラ没後20年の今年、横浜エアジン梅本さんの依頼でピアソラをやることになり、今回に繋がったわけです。
演奏曲目
1:ロ・ケ・ベンドラ(来るべきもの)50年代の意欲みなぎるピアソラです。同時期にジャズではオーネット・コールマンが「ジャズ・来るべきもの」という録音をしていますので、そういう時勢だったのでしょうか。
2:デカリッシモ モダンなハーモニーを使って一時代を築いたフリオ・デ・カロに捧げた曲。しゃれたハーモニーで満ちています。
3:コントラバヘアンド タンゴコントラバホの名手キチョ・ディアスに捧げたピアソラとトロイロの合作です。
4:ビジュージャ 有名になったキンテートで毎回のように演奏された勢いの良い曲。お金の意味のスラングだそうです。フラメンコでよく使うフリジア旋法の和音進行がタンゴでは異色です。
5:アウセンシャス(不在) 映画「タンゴ・ガルデルの亡命」の中で使われたミロンガ。後にピアソラはギターとバンドネオンのダブルコンチェルトでも使っているのでお気に入りだったのでしょう。私たちにとってはピアソラの「不在」です。
6:チキリン・デ・バチン 田辺和弘さんの歌をフィーチャーします。
7:ラ・ムーファ 不吉なものという意味だそうです。複雑なメロディの絡み合いがなんとも魅力的。
休憩
1:ラ・カージェ92 デカリシモと共通する明るい曲調は、ピアソラにはあまり多くありません。それだけに貴重なレパートリーです。
2:ブエノスアイレスの秋 有名なブエノスアイレスの四季の中の曲。ちょっとメランコリックな曲調。はやく秋になれ。
3:ルンファルド スラングとか符牒・隠語の意味だそうです。複雑な構成が後期のピアソラの特徴です。
4:コラール 合唱 美しいメロディとハーモニーです。願いが聞こえてきそうです。
5:タンゴエチュード3番 フルートソロのための曲集の中の一曲。それをベース3台でやるなんて・・
6:失われた小鳥たち 再び田辺和弘さんの歌をフィーチャーします。
7:エスクアロ(鮫)カンドンベのリズムがはげしい名曲です。
お楽しみいただけることを願っております。