本日キッドアイラックアートホールで羊の歌・第三章

(↑ブッパタール・カフェアダでの演奏)
今回のジャンさんとの演奏は、現状での私のベストの仲間、首都圏ベストの場所との共演です。私の現在を一緒に体験し、共有し、将来につなげようという無意識があったのでしょう。大変良い時間を過ごしています。ジャンさんの存在ゆえに共演者も聴衆も期待度、集中度が増しているのも事実。それをカリスマ性と言うのでしょうか?もともと備わっているものでもあり、幾多の経験により培ったものでもあるでしょう。彼が自己表現に満足して来なかったことが大事なのではと推察します。
さて、今日はキッドアイラックアートホールで喜多直毅さんとのトリオです。昨年震災のちょうど一週間後3月18日に予定されていた同トリオのキッド公演がジャンさん来日不可の為にブッパタールからのスカイプ出演になりました。
そのアイディアを実現すべく、キッドに行く前、底をつきそうなガソリンを大事に大事に使いながらパソコンとプロジェクターを繋ぐアダプターを探し走り回りまわっていました。あのころは本当にガソリンが手に入りませんでしたね。キッドに着くや、無線LANのパスワードを探していただき、壁に映すことができた時は本当に嬉しかった。試しにスカイプがオンな友人を探したらミッシェル・ドネダがオンだったので、連絡したら、スイスのウルス・ライムグルーバー宅にいていつもの笑顔を見せてくれました。もちろん日本のことをもの凄く心配していました。
ジャンともつながりました。場所はカフェ・アダ(ジャンがメメットさんと作ったカフェ、2階建てで演劇もコンサートもタンゴミロンガもサルサパーティも行われています。)でした。香港から無念の帰国をして本当に心配していました。コントラバスとヴァイオリンで彼を囲むようにセッティングし、演奏開始。余震も頻繁にあり、電車もまばらにしか走っていません。しかし集まった聴衆は異常な状態を共有する一体感で忘れられぬ会になりました。
後半では、映画「ピナ」でも人気をさらった愛犬スロッギーもスカイプに映り込み、さらに直毅さんがヴァイオリンを愛おしむように抱えた時に、ジャンもナエル王子を抱えるというシンクロも起こりました。
1ヶ月後、ジャン来日(その時の飛行機はガラガラ、日本人以外はほとんどナシ)。CD「浸水の森」発売記念でサラヴァ東京と芝の教会でジャンと直毅さん共演、東工大で「Looking for KENJI」でもご一緒。この演目で本年3月11日にブッパタールでも共演。
それらの経験を経て本日があります。平和になったとはとうてい言いがたい日本ですが、演奏は可能です。できるときにできる幸せを感じながら精一杯演奏したいと思います。
「羊の歌」第三章
ジャン・サスポータスと喜多直毅を迎えて
日時:2012521日(月)19:00開場/19:30開演
料金:予約3,000円/当日3,500
お問い合わせ、予約はキッド・アイラック・アート・ホールまで。
tel: 03-3322-5564
mail: arthall@kidailack.co.jp
世田谷区松原2-43-11
〈京王線/京王井の頭線・明大前駅徒歩2分〉
羊の歌シリーズは、キッドアイラックアートホールとの共催で始まりました。ヒツジ年の私が、羊の腸のガット弦を使うということで名づけました。加藤周一さん、中原中也さんにも同名、近い名前のものがありますが、意識したわけではありません。あしからず。

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