通し稽古・ジョンブッチャー

滞在も残り一週間になり、すこしあわただしくなってきました。
ピナさんの「1980」のドレスリハーサル・初通し稽古を観に来ないかということで、行ってきました。3時間半の舞台。メンバーは二週間にわたり週5日、午前10時から午後2時、午後6時から午後10時という1日8時間のリハーサルをこなし、その他にバレークラスなども取ったりしながら、仕上げに努めてきました。
3時間半というと、アンゲロプロスの「旅芸人の記録」「アレクサンダー大王」の長さ。1回の休憩を入れての舞台でした。「1980」はピナさんの亡くなったパートナーの思い出が満載されているということをジャンに聞いていたので、大騒ぎの場面でも想像が拡がります。さよならの場面は本当に悲しいものでした。三歳の王子も最後まで静かに鑑賞。子供には深刻な場面はムリ、というのはウソです。オトナが真剣にやっていれば,普通のオトナ以上に,子供は受け取るのです。帰国前日には本舞台も鑑賞できるとのことで、それも楽しみで有ります。
翌日からジョン・ブッチャーとの5連続小ツアーが始まりました。初日はミュンスターにあるブラックボックス。2年前にミッシェル、ニンと来て演奏した場所です。そう、このロビーで2人の来日の話をしたのでした。一つ一つの積み上げですね。ジョン・ブッチャーさんは謂わばビッグネーム。想定された以上のお客様で椅子を追加しています。
長年大概の経験をしてくると、「○○さんと共演したい」とかいうことは無くなります。ジョンさんとは、1回バーバー富士でお目にかかっていました。彼も覚えていてくれました。ごく普通に会って、挨拶をして、リハーサルも無く、たんたんと演奏に入りました。
国民性というものがあるのでしょうか、ジョンさんはいかにも英国のジェントルマンです。素直でシンプルな奏法は、くり返しフレーズも多く、聴衆は一緒になって音楽を追いかけることが出来ます。
打楽器のシモン・カマッタさんはドラムセットを準備していたので、音量にちょっと心配しました。が、それは杞憂に終わりました。アンプ無しのベースでも充分に共演できるのです。ありがたいと思いましたが、そんなことはこちらでは常識なのでしょう。
そればかりでなく3人とも微妙な音を楽しむシーンが何回もありました。嬉しいことです。その微妙な音とのコントラストで激しい音達も居所を失わずに充分機能しています。
良い初日を迎えることが出来、あと4日楽しみです。

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