公演後1日デュッセルドルフで遊んで、翌日ベルギーへ車移動。ケルンのダニエル・クレス(楽器店)に寄り、クラックの入ってしまったレンタル楽器を預けます。会うだけで安心するとてもすばらしい人格+腕のベース店です。近所にある魚専門のファストフード店に寄り白ワインと魚フライサンドで勢いをつけ再出発。F1ファンのジャンさんの運転です。
まだ停まっていない原発のすぐそばを通ると、すぐ脇に大きな風力発電が立っています。徐々に移行しますよ、ということなのでしょうが、奇妙に写ります。ともかくドイツ領内では風力発電の風車が目立ちました。
予想外に早くゲント(ヘント)に到着。午後9時か10時から始まるライブ会場に3時に着いてしまいました。ゲントは想い出の街です。15年前の初めての本格的ヨーロッパツアーで寄りました。5thシーズンという名前でバール・フィリップス、ミッシェル・ドネダ、アラン・ジュール、沢井一恵と私でグループを作り、フランス・ベルギー・スイスと演奏しました。ゲントで初めてニンさんの演奏を聴いたことも想い出です。
今日、お世話になるペーター・ジャックミンさんはその時に客席にいたということで、因縁を感じます。本日のヴェニューは La Resistenzaといういかにもオルタナティブな感じのカフェレストランの地下。ここで私のソロ、シグリット・タンヘさんのライブペインティング、ペーター・ジャックミンさんの料理!という趣向。フード&ソロ!とフライヤにも書いてあります。
時間つぶしに近所の教会に行き、そのあまりにも偉そうな出で立ちに息苦しくなりすぐにラ・レジステンザに戻り、軽食+ビール。ビールの品数の多さとおいしさに同行二人のビール好きには何よりの時間。今回のレンタルベースはルブナー製。日本でもよく見る大きめの楽器。今回は弦の交換はNGとのことで、本当に久しぶりにスティール弦(スピロコア)を弾きました。針金のようですね。キレイに、大きく音が出ます。大きすぎます!キレイすぎます!でも弾きます。本番では殆ど忘れますが。
ペーターさんも到着し、ライブペインティングと料理の準備。ライブペインティングはいつも小林裕児さんとやっているのと違い、水彩をプロジェクターをつかいスクリーンに投射します。手元で絵を描き、スポイトを使って水で流したりします。終わった後に作品は残りません。普段は何倍も大きなスクリーンに投射しているようですが、今回は地下なので小さなスクリーン。シグリットさんは、グンダさんと綿密な話合いをしてこの方法を確立したとのことです。3月25日にはブッパタールでWIO(ブッパタールインプロヴィゼーションオーケストラ)と共演します。今、こういうライブペインティングと音楽の共演がとても盛んだそうです。
ちょっと不安だったらしくリハーサル代わりに演奏して欲しいとのこと。ハイハイ、了解、とのことでやってみました。私にとって初めての方法でしたが、基本姿勢は変わりませんので、楽しく演奏できました。色彩と形と音は私にはとても身近なのかも知れません。吉田一穂さんの「半眼微笑」の方法で、絵を見るようで見ないようでしかしリラックスして目を閉じず。これが普段にもまして功を奏します。
10時過ぎにぞろぞろと人が集まってきて開演。45分間めくるめく色彩と音色の饗宴でした。ペーターさんも共演したいということで二部はペーターさんとデュオと思ったら、ジャンさんも踊ることになりトリオ。全員が黒の出で立ちでした。30分くらいの演奏。ペーターさんはコヴァルトさん直系。ワイルドなフリージャズです。彼は決してジャンさんを見ません。目を閉じて激しく弾く。
演奏後、スタッフ(カメラ2台、録音)演奏者がジャックミンさんの料理をいただきながらのひとときでした。