厳寒のソウルにいます。

ソウルにいます。
緯度では長岡、福島あたりと同じなのに、寒さは旭川や釧路並み、今もマイナス5~10度。大変寒い。
何か仕事をしてそれが先に繋がっていくことが好きです。この仕事もそれ。20年くらい前から5~6年間盛んに来ていた韓国との関係がプッツンと切れていました。昨年、シアターχで幕間にやった南貞鎬さんとのごく短いデュオがこの夏のソウルでのモダンダンスフェスにつながりました。(南・元一・ジャン・徹の四人)その南さんとの再会は、「いずるば」でのジャンさん体操でした。モダンダンスフェスを観に来ていた現代美術家・ユン・ドン・クさんが打ち上げの席で今回の参加を要請してくれました。おなじ会場に来ていたフランス人プロデューサーも気に入ってくれて来年2月のアヴィニオンフェスに同じ4人で出ることにもなっています。
ユンさんは元大統領の息子といいます。この国の現代芸術に関係する人は恵まれた家の人が多いようです。日本ではサラリーマンや農民の子弟がやっていることもありますが、かつては文化に関わる人間は裕福な家庭の子弟が多かったでしょう。
昨日からリハが始まりました。場所は旧ソウル駅の一番右側の建物。内部が廃墟化しはじめています。(メインの旧駅舎は現代美術を数多く展示していました。)そこにおおくのガラクタや、美術作品で一杯にし、演劇、ダンス(ドイツ人二人を含む)、ヴィデオ、音楽、民族音楽音源、ノイズ音源、奇抜な衣装、アイドル少女3名、マンガ、コスプレ、ホームレス、などなどともかくカオス。わざと汚くするのは当たり前。
なんとなく思い出したのは、私が20年前に関わっていた劇団「TAO(太虛)」でした。一万坪のベークライト工場跡地で多くの「もの」を使い、はやりだしたマルチメディアにも手を染めていました。
これがユンさんの個人プロデュース、かつ入場無料で聴衆50人、2日間だけという誠に贅沢な催しです。まずこの場所を長期間借り切り、暖房設備を入れ、常時動いているスタッフは数十人、私にはとても予算を計算できません。千野さんが何回か日本に呼んでいるパク・チャンスさん(ピアニスト)の家も大変な資産家。そこで定期的に行われているホームコンサートは「ホーム」とはとても言えない本格コンサートだそうです。レ・クアン・ニンさんが1回韓国に行ったことがあるというのは、そのコンサートでした。
ユンさん自身もずっと出演し台詞も有り、自慢の長髪を剃刀でシェーブする(1日半分ずつ)そうです。「私はここで何をやろうとするのか、まったくわからない。」というユンさんの台詞で始まり、ホームレスが突然乱入し「こんなところで何やっているんだ、外ではホームレスが凍え死にをしているのに」で終わるという筋。
さて今日もリハです。明日一旦帰国し、3日に戻りリハと本番(6,7日)をします。

1 Comment

  1. TAO、懐かしい響きです。松下が新しい機器を投じていたので、一度見学会がありましたね。クルトワイルだったか、実験的で難解でした。

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