少しずつ若い人とのつき合いが増えてきた。いいことだ。「こういう若者がでてくるとは思わなかった」というヤツらに会えると嬉しいものだ。高岡大祐はそのなかでも異色。大阪生まれ、幼いときにユニークな両親と一緒にヨーロッパ放浪。いまでもベルギーに半分くらい居るそうだ。日本にいるときは年間150本のライブを自らブッキングする。
演奏はフリーインプロヴィゼーションが基本。演奏のメンタリティはヨーロッパの演奏家と似ている。(そういう日本人演奏家はほとんどいなかった。実は、今でもほとんどいない。)
チューバという楽器を選んだことは大きい。ベースを選ぶ人間とも共通する。フロントにでてスポットライトを浴びることは、ほとんど無い。ソロをやろうにも、耳をそばだてることのできる聴衆が必要になる。しかしその奥は深く、音色は千変万化する。孤高になってしまうのではなく、人なつっこい性格は多くの人に好かれる。
ベーシストと共通するのだろうか、反権力指向も強烈だ。話し好き、うまい食・酒好きだけではなく、料理も一流だそうだ。それも20~30人分位はあっと言う間にできるという。スゴイ。つまりは、人間を信じ、音楽を信じ、愛を信じる(あるいは、信じたい)人間なのだ。
良い演奏ができることより、良いコミュニケーションが取れること(聴衆とも、共演者とも、そして自分自身とも)の方を重視するのだろう。逆からみれば、良いコミュニケーションが取れるような演奏は、良い演奏に決まっている。
身体が大きい人に共通するように、かなり繊細な神経を持つために、日々苦労が絶えないはずだ。
小倉にいる牧師・バイオリン奏者谷本仰、札幌の瀬尾高志と共通するものも多いな、と思っていたら、案の定、とうの昔から緊密な共演者(同時代人)だった。
昨年夏の初共演(ヨエル・グリップセッション)、エリック・シールマンスとのトリオ、震災一週間後の関島岳夫さんとのトリオで共演、今度5月12日にはデュオでのライブが決まった。(もちろん彼のブッキングだ)これは楽しみだね。
5/12(木) 齋藤徹x高岡大祐
東京【渋谷Bar Isshee】 open 19:30 / start 20:00
齋藤徹contrabass 高岡大祐tuba
席料500円+オーダー+投銭
渋谷Bar Isshee(080-3289-6913)