こういう世の中の状況になると、自ら動かしている企画に対する気持ちも少し違ってくる。ベースアンサンブル「弦・gamma/ut」も、もちろんそうだ。
安全な札幌から東京に出てきて、この仕事のために滞在をかなり延ばしている瀬尾高志、震災その日のうちに東京を脱出し、さらにアメリカに帰国した後、三週間でやっぱり日本に帰ってきたパール・アレキサンダー、地震直後に入籍した田嶋真佐雄、きちんきちんと日常の演奏活動を続けている田辺和弘。それぞれのことを思う。そしてそれは、全ての人に拡がってくるはずだ。同時代とはそういうこと。
contemporary。
「大震災と原発事故の後、この仕事が生き甲斐のように感じられる。」とこのグループのDVDを企画しているkadima collectiveとの連絡の中に書いたら、
「いろいろな事情にもかかわらず、徹がクリエイティブにいることを知ってうれしい。〈生き甲斐・存在理由〉というコトバは、私がこのkadimaという会社・企画に感じていることと近いよ。」との返事。
日本・イスラエルという危機的な問題をたくさん抱えている国に生きあわせてしまっている、その国のひとりひとりの生活、仕事、願い。それは共通する。赤ちゃんは可愛いし、新鮮な食物は美味しいし、桜は美しい。
三週間音楽から離れていたパールのために、「いずるば」でリハーサル。今日からの全員でのリハーサルに備える。こちらも、パールが居ないことも想定してカルテットでの編曲も考えていた。ともかくみんなが揃った。
明らかに寝不足・ストレスにやられているのを見てか、「いずるば」が、夕食を用意してくれた。遠慮無くいただく。湯豆腐・おでん・蕗・野菜・肉と生姜・宮城の美味しいお米、昔から日本にある日常的な晩ご飯(もちろん豪華)。これがみんなの心と体に沁みた。アメリカ人も日本人も関係なし。しかし、パールの祖先・前世?は日本人かも知れないなどと笑いながら和む。「和」と言う字は稲(のぎへん)をみんなで食べる(口)ということか。