松本 陀瑠州ベースワークショップ

松本にある陀瑠州でのベースワークショップも第三回を迎えた。ジャズ中心で、信州大学のジャズ研が主なメンバーであることは、札幌・北大を中心にした「漢たちの低弦」に相当する。しかし場所により違う事情が存在する。それに丁寧に一つ一つ対処していくことが必要だ。面倒と思ってしまったらオシマイ。やらない方が良い。

オーナーの松井恵美さんはほとばしる情熱で若者を見守り続けている。大病を経ても、若者気質が変わってしまっても、その気持ちに変わりはない。なかなかできることではない。

ジャズが、ある都市にとって,革新的なものの入り口だったのだろう。(先月訪れた宮崎のLIFE TIMEもそのようだ。)その街での行政の問題、障害者対策、差別、公害、労働、食べ物などさまざまなものの紹介所だった。音楽で言っても、ジャズに囚われず、良い音楽を紹介する場所だったのだ。私も、沢井一恵、小松亮太、バール・フィリップス、達を陀瑠州に紹介し演奏した。

さて、ベースワークショップ。札幌と大きく違うは、プロ志向ではないということ。しかし、音楽は音楽だしベースはベースだ、何の変わりはない。私は自分の信じることを伝えるしかない。「私はこうやって、生きているのだ」ということを見せるしかないのである。伝わるかどうかではない。自分の今が、自分の音楽が試されていることを認識しなければならない。

などと偉そうなことを考える。第1回目、第2回目とコントラバスはどういう楽器なのか、ということ、私が考えるコントラバスと音楽のことを伝え、実践した。変則チューニングも、打楽器奏法も、韓国ビートも、プリペアードもなんでも惜しみなく伝えた。

今回は、2ビートにテーマを絞った。彼らの憧れる4ビートジャズも、2ビートができなければダメ。2ビートからさらには1ビートにまで考えられるようにしたい。さてどんな音楽を使うか?もちろんラテンだ。中南米音楽の「歌」「踊り」の健康さを使うしかない。

「花祭り」のカルナバリートで大地を踏みしめる2ビート、「忘却」で大きく広がるパンパのミロンガとピアソラビートの成り立ち、「リア王復活のテーマ」でキューバのハバネラのダンサブルさ、ベネズエラの「コーヒールンバ」で沸き立つ感じを、「黒石」で自由なビートを、「ブエノス・アイレス午前零時」でタンゴ、ジュンバを、最後に「ア・フェリシダージ」でブラジルサンバで祝祭を。さまざまな2ビートをみんなで楽しんだ。

ヘトヘトになったが、いつものように、最も多く学んだのは「私」なのでしょう。

中南米音楽の生きている「詩」の話にまで行きたかったがそれは時間的にもムリだった。「詩」が生きているから、「歌」が生き、「ダンス」が生き、「音楽」が生きる。最後の「ア・フェリシダージ(幸せ)」でみんなで大声でリフレインした部分の詩は「哀しみは終わらない、幸せは終わってしまうけど・・・」というのだぜ。若者よ。あんなに祝祭的なビートで歌っているのにね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です