磨く、磨く、磨く

今でも時々読み返す野口三千三さんの著書に、鉄棒を磨くというのがあった。ともかく大事に大事に鉄棒をピカピカに磨いて愛おしむという。そういう教育をして小学生でも平気で大車輪をし、周囲がビックリ仰天したそうだ。

それと同じことが楽器にもある。ちょっと閃いてイオンウオーターなるものを手に入れ、専用の布につけ楽器を拭いてみた。140年間の手垢、汗、松脂の粉、タバコの脂などなどが落ちる落ちる。そして楽器を弾いてビックリ。楽器の箱鳴りがグンと豊かになり、一つ一つの音がくっきりしてきた。これは、駒を替えたり、楽器の調整を上手な人にしてもらったときの変化以上だ。

今年ヨーロッパに一月半いて、日本で楽器を維持することの難しさを実感し、諦め気味だったが、少し持ち直した。小さいときに、泥だんごを作り、特別上手くできた泥だんごを、ピカピカに磨いたことも思い出した。とても美しく輝き、固くなった。無心に「磨く」ことは「祈り」に近い行為なのか。

Bassically Speakingのリハでも自慢げに披露した。パールの楽器も、瀬尾の楽器にも試す。瀬尾の楽器(かつて私が使っていた)の変化には、目を見張った。タバコのヤニがベッタリ付いている。拭き取った後の音の清々しいこと。一皮も二皮もむけた鮮やかな音。

というわけで(どういうわけだ?)16日エアジンのベーストリオは面白くなりそうだ。タンゴ・エクリプス全3楽章もやる予定です。是非。

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