徹の部屋vol.10間近です。
平野壮弦さんの書との会です。書と言えば、我が妹・乾千恵さんの書を思い浮かべますが、今回、壮弦さんはライブで書きます。私にとって初めての経験なので、どうなるか楽しみにしています。書くものが、もはや「字」ではなくなっている傾向もあると聞きます。墨だけでなく、岩絵の具も使うかもしれないとも聞きます。このところ共演の多い小林裕児さんのライブペインティングと同じなのか、違うのか、それも興味深いところです。
もの凄く大きな紙(大変貴重なもの)もお使いになると言います。そんな和紙を作る伝統技術にも触れることができますし、墨の香りは遠い記憶を誘い出してくれそうです。また、壮弦さんのアイディアで、お集まりのみなさまにも書を体験できる場面も作ろうと言うことなので、これも乞うご期待。
この国には、もともと、あるいはずっと長く「即興」とか「前衛」とかがそんな名前で呼ばれなても根付いている(いた)ように思います。私の周りを見渡しただけでも、能の久田舜一郎さんの即興性(特に「道成寺」の乱調子)、箏・17絃の沢井一恵さんの即興演奏はヨーロッパ最先端のインプロバイザー・聴衆の絶賛を浴びています。海童道のCDは復刻される度に驚きと共に熱狂的な聴取者を獲得しています。
焼き物をしている知人が、時に「使えない」器を嬉々として作ったり、日本画をやる人がビックリするような大胆な展開をすることも身近によくあります。土方巽さんの踊りに心惹かれる文学者は大変多かった。
こういう傾向に対して、仏教、特に禅のことを思い浮かべるかもしれませんが、仏教伝来以前の神道にもアニミズムの記憶にも根をもっているのと推察します。DVD「SUKIYAKI AND CHIPS」では外国人の目で見た日本人の音感の特異さを取り上げていました。私にとっては日常の当たり前の出来事が視点を変えるとこんなに違うのだということを逆に教わった良い例です。
伝統は、異端と異端を繋ぐか細い線でできているので、これぞ「伝統」という所に伝統は無いのかもしれません。ただ、私たちの持っているこの身体だけが知っている?(私の頭では知らなくても・・・)そういうものかもしれません。
そういう即興性もアソビゴコロもうかうかしている内に無くなってしまうかもしれません。絶滅危惧種の動植物がどんどん減っているのと同じこと?
コマーシャリズムと情報操作、自然との乖離、極端な拝金主義、保身などなどの理由はいろいろと言えるでしょう。かく言う私もその一端をしっかり担っていることは否定できません。
壮弦さんとの会で,いろいろな「気づき」が皆様にも私にも訪れることを期待しています。
(予約がとてもとてもとてもとても少ないそうです。お時間のあるかた、是非おいでくださいますようお願い申し上げます。またご興味のありそうな方にお声をかけていただければ幸いです。拝。)
徹の部屋vol.10
10月29日(金)18:30open/19:30start 開演前にお食事もできます。
書の波〜音の波 平野壮弦(書)× 齋藤徹(BASS)
space&cafe ポレポレ坐 http://za.polepoletimes.jp/
予約2500円、当日3000円+要ワンオーダー
予約:電話:03ー3227ー1405(ポレポレタイムス社)
平野壮弦(ホームページより http://www.hiranosogen.jp/)
1961年、新潟県十日町市生まれ。
公立中学英語教師を経て、30才にして書芸家に転身。 その筆技と感性を高く評価され、大手クライアントをはじめとした各種企業のロゴ書を多数揮毫。
FIFAより、2002日韓ワールドカップ公式ポスターならびに公式エンブレム毛筆バージョンの制作の依頼を受け揮毫。
2005ソウル書芸ビエンナーレ、2006台北国際現代書芸展に招待出品。
ニューヨークでの個展開催をはじめ、「韓中日2007書芸デザインワークショップ」にて招待講演ならびにパフォーマンスを行うなど、書芸術を世界に広めるべく、世界的な活動を展開。
アメリカCNNテレビ、韓国国営放送をはじめとした海外メディアに、21世紀の書芸術を担うアジアを代表する書芸家として出演。
書芸術を現代に活かすべく、ロゴ書の揮毫、アートパフォーマンス、インスタレーション、コラボレーション、執筆、講演等、幅広い活動を展開している。
またファッションの世界にSOGEN書芸術によるニューモードを生み出すべく、着物や浴衣、Tシャツなどの制作にも精力的に取組む。
自由な書芸術による表現世界を求めるSOGEN塾【書芸・SOGEN流】主宰。
※現代の書を斬り、真の書芸術とは何かを、SOGENが自己の半生とともに縦横無尽に 語った著書、『汚し屋壮弦 俺の書でイケ!』(天来書院・刊/2006)好評発売中。